スーパーラグビー2014の栄冠争いは、ファイナル4に絞られた。過去18年間一度も頂点に立ったことがないワラターズ(オーストラリア)とシャークス(南アフリカ)は悲願達成まであと2勝と迫り、最多7回の優勝を誇るクルセイダーズ(ニュージーランド)は6年ぶりの制覇を、昨年の準優勝チームであるブランビーズ(オーストラリア)は10年ぶり3回目の王座奪取を狙う。
クルセイダーズは今季リーグ戦2位で、13年連続の4強入り。準決勝は、今週土曜日に地元クライストチャーチで、リーグ戦3位通過のシャークスと対戦する。試合登録メンバーが発表され、6月のイングランド代表戦であばら骨を折り離脱していたオールブラックス主将のリッチー・マコウが、ブラインドサイドFLで先発することが明らかになった。マコウが慣れ親しんできた7番はマット・トッドがキープする。
また、レギュラーシーズン最終戦の先発メンバーからはHOの顔も変わり、この一戦がクルセイダーズでの150試合目となる元ニュージーランド代表のコーリー・フリンがスタメンに入った。
フィジー代表のWTBネマニ・ナドロ(NEC)も含め、先発15人中14人が代表経験者である。
一方のシャークスは、先発メンバーのうち4人がジャパンラグビートップリーガーであり、12番をつけるフランソワ・ステイン(東芝)、アウトサイドCTBから右WTBに移動するJP・ピーターセン(パナソニック)、NO8ライアン・カンコウスキー(豊田自動織機)、FLジャーン・デイゼル(トヨタ自動車)に日本のファンの注目が集まるだろう。
首を負傷している南ア代表PRテンダイ・ムタワリラの回復は間に合わなかったが、先週末のプレーオフ1回戦(対ハイランダーズ)でも1番をつけたトーマス・デュトイは成長著しいパワーハウスであり、シャークスの強力スクラムが劣勢になることは考えにくい。FWからはLOアントン・ブレスラーも負傷離脱したが、大型バックローワーのヴィレム・アルベルツが2列の穴を埋めることとなった。
また、故障を乗り越え約4か月ぶりに戦列復帰したパット・ランビーは、プレーオフ1回戦で途中出場ながら活躍し、クルセイダーズ戦では10番をつける。
南アのスーパーラグビーチームは2001年以来、クライストチャーチで勝っていなかったが、シャークスは今年5月にその地で、一発退場者を出し14人になりながら30-25で歴史的勝利を収めている。
しかし、クルセイダーズがホームゲームに強いというのは事実であり、過去15回出場したプレーオフでは、地元で一度も負けていないというデータもある。
もうひとつの準決勝は、リーグ戦1位のワラターズと4位からの下剋上を狙うブランビーズの対戦となり、プレーオフで12年ぶりに豪州ダービーが実現する。決戦の舞台はシドニー。約4万4000人収容のアリアンツスタジアムで、すでに3万8000枚のチケットが売れており、ワラターズの観客動員記録(41,645人)を更新するかもしれない。
ブランビーズは、プレーオフ1回戦(対チーフス)のメンバーから変更なし。2004年の優勝を経験しているCTB/WTBクライド・ラスボーンはポジションを獲得できなかった。キーマンになりそうなのは、オーストラリア代表に初選出されたばかりのフィジー出身WTBヘンリー・スペイト。
ワラターズはキャプテンのFLデイヴ・デニスが負傷離脱しているが、オーストラリア代表の主将・FLマイケル・フーパーや副将・CTBアダム・アシュリークーパーがおり、チームは結束している。攻撃の要となりそうなのは、今大会トップトライスコアラーのFBイズラエル・フォラウ。FWでは、宗像サニックスブルースの選手でもある南ア人のジャック・ポトヒエッターがLOで先発する予定で、6月にオーストラリア代表デビューを果たしたLOウィル・スケルトンは後半のインパクトプレーヤーとして活躍が期待される。
(撮影:Yasu Takahashi)