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神戸製鋼のルーキーFB山下 京産大で示した勝負強さを活かすには…

2014.07.14

 日本最高峰のトップリーグ(TL)で2季連続で4強入りの神戸製鋼に、関西大学Aリーグで昨季3位の京産大からFB山下楽平が新加入。身長174センチ、体重80キロと一線級にあっては小柄だが、柔らかかつ鋭利な走りと勝負強さを長所とする。

 最終学年時はニュージーランドへ留学した。「僕がやってきたなかで(の実感)」と前置きしながら、「日本では、特に学生では、下のチームに上を目指す選手とそうでない選手がいて、バラつきがあった。向こうの人は、ラグビーをすることへの意識に日本と違いがある。楽しんでいるということもありますけど、どこをどうすれば良くなるかを考えてやっている。努力の量と質が違う」と実感を語る。約半年の経験を成長の肥やしにしたようだ。

 存在感を全国区で示したのは、最後の冬。2013年12月8日、愛知・瑞穂ラグビー場。関東大学リーグ戦2位だった中大との大学選手権セカンドステージ初戦では、ノーサイド直前にインゴールを突き破る。直後のコンバージョンも自ら決める。29-28。土壇場での逆転勝利をものにした。

「たまたま、ですけどね。なんでできるんですかね…。まぁ、目立つのは好きなんで、狙ってはいます。ここで決めたらという場面ではいつもより集中しますし。集中力を持続するのが得意じゃないのは課題なんですけど、ここぞという場面で力を発揮できるタイプだとは思います」

 神戸製鋼では、すでに2つの練習試合に出場。スペースがあればいい走りができると感じた。容易な言語化を避けたいためか「何が得意かと聞かれたら答えづらいと自分では思っている」と語りつつ、「試合(公式戦)に出たい。トライを取りたい」という目標を果たすための収穫と課題を口にした。

「個人的にタックルミスが多かった。身体ももう少し大きくしないといけないと感じる。触られたら止められる、では、いくらスピードやキレがあっても意味がないと思っている。スペースがあれば抜けるというのは、TLでは当然。スペースがなくても、抜く。単純に人に強くなり、ボールを持っていないなかでも動き続けて、スペースを作り出したい」

 早大3年の藤田慶和、筑波大3年の福岡堅樹ら、WTBやFBでは年下の大学生選手が日本代表入りしている。今季は7人制日本代表でも活躍が期待されるFB山下は、その向きに無表情で発した。

「僕が選ばれていないというのは、彼らの方が優れているとされているから。何が差なのかが(自分のなかで)具体的に出てこないことが問題なのですけど。まずは神戸製鋼、セブンズで結果を出して、アピールできたら」

(文:向 風見也)

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