(撮影:Hiroaki. UENO)
ラグビーを愛する関東の女子高生たちが、国際大会で実力を存分に発揮し、頂点に立った。29日、福岡・グローバルアリーナで「サニックス ワールドラグビーユース交流大会 2014 女子セブンズ」の決勝戦がおこなわれ、関東選抜が35−21でサンシャインコースト スティングレイズ(オーストラリア)を下し、優勝した。
「所属チームはバラバラだけど、ユース日本代表などで一緒にやっている選手もおり、すごくまとまっていました。大会2日間で全員にチャンスを与えたところ、試合ごとに新しいスターが出た感じです。個々の力、意識がすばらしかった」
関東選抜の小泉幸一監督がそう称えた選手たちは、前日の予選リーグを3戦全勝で突破し、29日の準決勝では見事な組織ディフェンスで福岡レディースを完全に封じ込め、32−0と圧倒。決勝は、ワールドユース交流大会に参加している海外男子チームを含めた大勢の観衆が見守るスタジアムでおこなわれ、身長170センチを超える選手がほとんどのオーストラリアチームに走り勝った。
キックオフから1分も経たぬうち、インターセプトトライを奪われた関東選抜だが、慌てなかった。前半5分、ボールをつなぎにつないで、清水麻有がフィニッシュ。その2分後にはゴール前のPKから速攻を仕掛け、清水がターンをうまく使って連続トライで逆転する。前半終了前には、敵陣22メートル内のブレイクダウンでボールを奪い、テンポよくゴールに迫ったあと、すばやく右に展開してチーム3本目のトライが生まれた。佐藤優のキックも好調で、21−7とリードしてハーフタイムへ。
準決勝のニュージーランド(フィールディングハイスクール)戦をスピードで圧倒したオーストラリアの選手たちだが、関東選抜の防御網は固かった。中央に穴は見つからず、ならばと、俊足のオージーガール9番がタッチライン沿いから突破を狙うが、鵜川志帆が許さない。
再び攻めに転じた関東選抜は後半2分、バティヴァカロロ・ライチェル・海遥らの力走で敵陣深くに入ると、サポートした曽根田詩歩がゴールに持ち込んだ。
運動量で上回った将来のサクラセブンズ(女子7人制日本代表)候補たちはこのあと1トライを追加し、やがて、ノーサイドのホイッスル。両チームの熱闘に、観客席から大きな拍手が送られた。
キャプテンの櫻井綾乃は、「海外勢に走り負けないように、全力を出し切りました。練習から大きな声を出して、元気がよかったのも勝因だと思います」と満面の笑顔で戦いを振り返り、「監督、コーチ、支えてくださったすべての方々、そしてこのすばらしい大会に参加させてくださった関係者の方々に感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。
3位決定戦は、福岡レディースが26−19でニュージーランドチームに勝利。準決勝では自分たちの持ち味をまったく発揮できなかったが、得意の速いパス回しでラグビー王国のチャンピオンチームと互角に戦い、19−19で迎えた後半4分、ハードワーカーの堤ほの花が決勝トライを奪って、全員で残り時間を守り切った。
今春の全国高校選抜女子セブンズで優勝した石見智翠館高校(島根)は、5位〜8位決定トーナメントで2連勝し、5位。予選リーグでは全敗だった神戸甲北高校(兵庫)は、最後にカナダチーム(サー オリバー モーワット カレッジエイト インスティテュート)を38−0で下し、笑顔で大会を終えた。
<サニックス ワールドラグビーユース交流大会 2014 女子セブンズ>
〔順位決定戦〕
■5〜8位トーナメント 1回戦
・香港ジュニアドラゴンズ 31 − 0 サー オリバー モーワット カレッジエイト インスティテュート(カナダ)
・石見智翠館高(島根) 20 − 0 神戸甲北高(兵庫)
■7位・8位決定戦
・神戸甲北高(兵庫) 38 − 0 サー オリバー モーワット カレッジエイト インスティテュート(カナダ)
■5位・6位決定戦
・石見智翠館高(島根) 17 − 14 香港ジュニアドラゴンズ
■1〜4位トーナメント 1回戦
・サンシャインコースト スティングレイズ(豪州) 27 − 5 フィールディング ハイスクール(NZ)
・関東選抜 32 − 0 福岡レディースRFC
■3位・4位決定戦
・福岡レディースRFC 26 − 19 フィールディング ハイスクール(NZ)
■決勝戦
・関東選抜 35 − 21 サンシャインコースト スティングレイズ(豪州)
(撮影:Hiroaki. UENO)