関東大学対抗戦A所属で大学選手権5連覇中の帝京大は、昨季に引き続きシーズン終盤の日本選手権でのトップリーグ(国内最高峰リーグ=TL)勢撃破を目指す。肉弾戦の圧倒で学生王者となり、数年来、運動量と組織性を活かした連続攻撃に注力。岩出雅之監督は、今季はFW第1列の面々により高い要求を課すと示唆した。
2月16日、東京・秩父宮ラグビー場。トヨタ自動車に13−38で敗れた。指揮官は、敗因のひとつにスクラムでの苦戦を挙げる。前年度は「立ってプレーする」という目標達成のため運動量と攻撃の連携強化に注力していたため、プレーの起点となるスクラムには時間を使いづらかったようだ。
「去年は走る量を重視していた。そこで『スクラム、スクラム』とPR陣をいじめると身体をこわしてしまうと思った。無理をさせなかった」
今季も3月から走りこみを続け、WTB磯田泰成は「年々、走る量を増やして走れるチームになっている」。一方、岩出監督は強固なスクラムワークの再構築にも並行して着手するという。
「絶対、勝ったろうと。本人たちも 『セットプレーを(強化したい)』と言い出しているから、そこをしっかりやっていく」
スクラムの最前列を担うFW第1列にあって、さらなる成長を期す1人が3年のPR深村亮太だ。身長は186センチ、自己申告によれば体重は125キロ。国内屈指のサイズを誇り、5連覇を決めた大学選手権決勝(対 早大 ○41−34/1月12日、東京・国立競技場)では前半23分、足元へのタックルを受けつつ真上からボールをインゴールへ叩きつける豪快なトライを決めた。4月20日の関東大学春季大会初戦(対 中大 ○82−7/東京・帝京大グラウンド)でも後半12分に似たような形でインゴールを割り、岩出監督は「あの形に味をしめたな」と呟いた。
トヨタ自動車戦の課題を「スクラム」とPR深村。「相手の強さに対して、自分たちが対応できなかった。組んだ瞬間にプレッシャーをかけられて、僕たちは前に出れなくて」。経験豊富な TLクラブのFW陣を前に、8人がまとまって組む自軍の型を示せなかったようだ。
スクラムの力感と運動量。相反するようにも映る強化ポイントを同時に見定めることに、「それにチャレンジすることで自分も成長でき、チームも強くなる」とPR深村は言う。
「自分も、まだまだ走らなきゃいけないと思っている。僕が走ったらチームのためになる」
帝京大は27日、大東大との春季大会2戦目に臨む(帝京大グラウンド)。