後半終了間際、ジャパンはロマノ・レメキのトライで同点に追いつくも…。
(撮影/松本かおり)
手に入りそうだったものがスルリと抜けた。『TOKYO SEVENS 2014』2日目、ジャパンにとっての2戦目はボウルトーナメント準決勝のウエールズ戦。一時は14-0とリードしたものの、最後は延長戦の末に敗れた(19-24)。またも表彰台には立てなかった。
前日の消化不良状態から、前戦のサモア戦勝利で覚醒したジャパンは、この試合でもいい立ち上がりを見せた。
キックオフからの攻防で自陣深くに追い込まれた序盤。しかし、細かなパスと藤田慶和のビッグゲインで逆に攻め込むと、最後は橋野皓介→ロマノ・レメキのコンビネーションで先制トライを奪った。
さらに前半終了間際にもトライを決める。深く蹴り込んだキックで得たスクラム。ボールを投入した橋野が回り込み、インゴールに飛び込んだ。
14-0として迎えた後半。しかし、押せ押せムードは一瞬にして暗転した。
3分過ぎ、敵陣に攻め込んだ際にインターセプトからトライを許す。その直後には、ノーマークのエリアに蹴り込まれたキックオフボールをかっさらわれ、つながれてトライ。瞬く間に追いつかれた。
さらに、その1分後にも失トライ。最後の最後に敵コール前スクラムというチャンスをつかみ、PKからレメキがトライを決め、同点に追いつくも…。
延長戦のキックオフで相手に渡ったボールを取り返せなかった。1分50秒、スクラムの展開後にトライ。スタンドは静まった。
試合後の瀬川智広ヘッドコーチは、「惜しい、ではダメ」と切り出した。
「昨日もそうでしたが、ジャパンのペースで戦えていても、それを勝利に結びつけられない」
集中力の途切れた僅かな時間帯を悔いた。そして、コアチーム昇格決定大会となる1週間後の香港決戦に向け、修正しなければならない点を吐露した。
「ついつい攻撃が前がかりになって、本来の深さを保てなくなる。そのせいで、予定していたところと違うところで接点が起きています。ディフェンスに粘りは出てきましたが、もっと自分たちのやりたいことをやらないといけない。(1位になるしかない)香港では、いつもと違うプレッシャーの中で戦わなければいけません。自分たちの土俵で戦いたいし、そうでなくなったときの対応力が大事」
坂井克行主将、桑水流裕策の両ベテランは、悔しさを噛みしめながらも、「いい準備になった」と秩父宮での2日間を振り返った。
「共有できることが多くなってきた。そして、アジアシリーズを戦ってきてくれたメンバーを中心に芯が通っているからぶれない」(桑水流)
「東京セブンズで、今年はカップトーナメント目前までいけた。それも、昨年までの勝利は幸運に恵まれたものもあったけど、今年は実力で接戦に持ち込めた実感がある。それを自信にしたい」(坂井主将)
立ち止まるヒマはない。香港で、ボウルトーナメント優勝以上に大きなものをつかみとりたい。