12日発表の日本代表に名を連ねた筑波大2年のWTB福岡堅樹は、自慢の瞬発力をさらに高められそうだ。2月20〜27日には千葉・日本エアロビクスセンターでの第12回セブンズシニアアカデミー(SSA)に参加。男子7人制日本代表候補として、ディーン・ベントンS&C(ストレングス&コンディショニング)コーディネーターの指導のもとランニングフォーム改革に着手した。「(持ち味の)スピードがさらに伸ばせると言われて、嬉しい」と前向きである。
チームは2016年のリオデジャネイロ五輪に向け、3月28〜30日の香港セブンズ(香港スタジアム)でのコアチーム昇格決定戦優勝(ワールドシリーズに常時出場できる世界トップ15入り)を至上命題とする。3月22〜23日の東京セブンズ(秩父宮ラグビー場)も見据え、瀬川智広ヘッドコーチ(HC)は1月の第10回SSAから15人制代表やトップリーグで活躍する選手を招集。15人制代表のエディー・ジョーンズHCや各選手の所属先の理解を得て、これまでリストアップが叶わなかった実力者の「ラグビーIQ」に期待する。福岡の起用イメージは明確だ。
「14分(1試合)フルで起用するというより、トライをして欲しい状況で効果的に使いたいと考えています。彼のスピードを活かせるように」
昨年ジャパンのレギュラーとなった福岡は、相手を一瞬で置き去りにする瞬発力が自慢のランナーだ。今年、人生で初めて7人制でプレーするという。2月の第12回SSA中は、約30センチの台の上から床に飛び降りてその反動でジャンプ、着地時間と飛び上がる高さを機械で数値化するという測定を行った。瀬川HCによれば、一般男性の記録は「100ちょっと」で、福岡と同様15人制代表からセブンズに挑む藤田慶和が「140くらい」とのこと。そんななか福岡は「300以上」と異例の数字を叩き出し、優れたスプリント能力を証明した。
もっとも、1日に複数のゲームを行う7人制に必要な「スピードの持続性」については、改善の余地がある。課題克服に向けてベントンコーチが着手するのが、フォームの改造なのだ。
「自分はこれまで疲れる走り方をしていて、これではフィットネスは上がらない、と。フォームを矯正して、何度もリピートができるように」
低い前傾姿勢となる癖を一部矯正し、本人によれば「低い姿勢は変わらないまま、落ちる骨盤をしっかり立てて走る」よう意識し始めている。一部のランニングメニューは、細長い棒を両手で持ち上げて「上から引っ張られているようなイメージ」を持って行っていた。
今回のバージョンアップは、これまで9キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)を獲得した15人制のプレーにもつながる。自らも「15人制にワールドカップ、7人制にはオリンピック。それぞれに大きな目標があるので、それに向かって取り組んでいく」と話している。現在は鹿児島での第13回SSAに参加中だ(3月7〜17日)。