改築前の国立競技場(東京)で行われる最後の日本ラグビーフットボール選手権大会で、栄冠を手にしたのはパナソニック ワイルドナイツだった。9日、第51回日本選手権大会決勝が同スタジアムで開催され、パナソニックが東芝ブレイブルーパスを30−21で下し、三洋電機ワイルドナイツ時代を含めて4季ぶり4回目の日本選手権優勝を果たした。2013−2014シーズンはトップリーグも制しており、初の2冠達成である。
序盤にペナルティゴール(PG)で先制したあと、前半19分に東芝のWTB大島脩平に防御網を破られトライを許したパナソニックだったが、30分、ラインアウトからの攻撃で徐々に攻め上がり、SOベリック・バーンズからのパスを受けたWTB山田章仁が左タッチライン沿いを抜けてインゴールに走り込んだ。
しかし4分後、東芝のNO8望月雄太が敵陣10メートルライン付近から突破して逆転トライを奪い、10−14、東芝のリードで前半を終えた。
後半最初に得点したのはパナソニック。46分、敵陣22メートルライン内でアドバンテージをもらうと、SOバーンズが自ら切り込んでゴールに迫り、オフロードでCTB林泰基につないでゲームをひっくり返した。さらにPGで3点を加えたパナソニックは61分、敵陣22メートルラインでLO劉永男がキックをチャージしてチャンスを作り、相手の守備体形が整わないうちにSOバーンズが左へキックパスを放り、こぼれ球を途中出場CTBのJP・ピーターセンがすばやく拾ってインゴールで押さえ、リードを拡大した。
直後、東芝がキックオフボールを確保し、一気の攻めでFLリーチ マイケル主将がトライを奪い、ゴール成功で6点差となる。しかし72分すぎ、ハーフウェイ中央付近での東芝ボールスクラムで、パナソニックのSH田中史朗が相手のルーキーSH小川高廣にプレッシャーをかけて反則を誘うファインプレーを見せる。SOバーンズがPGを決めてパナソニックはセーフティリードを保ち、そのまま逃げ切った。
2冠達成にパナソニックの中嶋則文監督は、「選手がいままで努力してくれた結果。本当によくやってくれた。(今季)最後の晴れ舞台で、選手たちは自分たちのラグビーを信じて、絶対に勝つんだという強い気持ちを持ってプレーで表現してくれた」と喜びをかみしめていた。