(撮影/Hiroaki UENO)
最後まで攻め続けた。しかし、最後までミスも出た。結果、5点届かなかった。
三菱重工相模原の高岩映善監督は、「この5点を埋めるには、相当の努力が必要。もっとハードワークして、ギリギリの勝負を手にできるチームにしたい」と語った。
2月8日に福岡、レベルファイブスタジアムでおこなわれたトップリーグの入替戦。コカ・コーラウエストが三菱重工相模原に22-17で勝ち、トップリーグ残留を決めた。
和製FWを組んだコカ・コーラウエストと、今季初めてBKに2人の外国人選手を先発起用して戦いに臨んだ三菱。立ち上がりはコカ・コーラウエストが高い集中力でFWが結束し、ペースをつかんだ。5分にモールを押してLO桑水流裕策がトライを奪うと、16分にはSH香月武が速攻からインゴールに飛び込む。10-0とした。
しかし三菱も、SOスティーブン・ドナルド、WTBシェーン・ウィリアムズのふたりが絡むといいパフォーマンスが出た。26分にウィリアムズが個人技でトライ。35分にはCTBロコツイ・シュウペリの走りから、FB青木和也が飛び込む。逆転した(12-10)。
大きかったのは前半終了直前、コカ・コーラウエストのSO南里新が奪ったトライだ。敵陣で得たスクラムからSH香月が仕掛け、南里が決めた。「FWが内を止めてくれていたし、防御にギャップがあったので思いきりいった」と殊勲の男は答えた。三菱に向きかけた流れを止めた。
後半は、9分にLO川下修平がトライを決め、コカ・コーラウエストがリードを広げたが(22-12)、勝者に勢いがあったのは短い時間だった。12分にSOドナルドがトライを決めた三菱は、その司令塔の判断力と、WTBウィリアムズの積極性を軸に、何度も前に出た。でも、そのたびにミスが出て、好機を失った。勝ったコカ・コーラウエストの山口智史監督が、「勝ちはしましたが、自分たち本来のスタイルを考えると、今季いちばん悪い試合だった」と振り返ったのはそのためだ。
勝った真紅のジャージーは、勝利の瞬間こそ全身で喜びを表現したが、豊田将万主将は、「首の皮一枚つながった」とギリギリの勝利だったことを認めた。
「ホッとしました。シーズンを通しての試合で、自分たちが何をやらないといけないかはっきりわかった。それを突き詰めていきたい」
入替戦出場の屈辱も、僅差の敗戦も少なくなかった。「来季はそれを勝利にできるチームに」と誓い、キャブテンはスタジアムをあとにした。