パナソニック 55 − 15 東芝
(2014年2月1日/東京・秩父宮ラグビー場)
攻め勝ったように見える試合も、選手たち自身の思いは「しっかり守れたから」。多くから聞こえてきた。2月1日におこなわれたトップリーグプレーオフトーナメントのセミファイナル、パナソニック×東芝。試合は接戦が予想されたが、55−15でパナソニックが圧倒した。
8トライを奪った青ジャージーの野武士たち。背番号10を背負ってチームを操ったベリック・バーンズが言う。
「いつもより1週間長く準備期間もあって、メンバーも揃った。自分たちのやりたいラグビーができた。1対1で止める。1対1で前に出る。そんな基礎的なとこをやろうとして、やり切った結果」
東芝の和田賢一監督、望月雄太ゲームキャプテンも、同じことを言った。
「やりたいことをやらせてもらえなかった。いろんな面であちらが上だった」
シーズンを通して連携を深めてきたパナソニックと、リーチ マイケル主将を欠くなど怪我人も多く、これまでにない布陣を組んだ東芝。その差もあった。
パナソニックは、ボールキャリアーとサポートプレーヤーの息が絶妙だった。ターンオーバーからのボールの動きに淀みがなかった。だから勝利をつかんだ。
SOに廣瀬俊朗が入り、SH小川高廣とともに積極的に攻めた東芝。しかし敗者は、わずかな乱れで好機を何度も逃した。頂上に近いところでの決戦で、その差は大きい。望月は、「てっぺんをもう一度目指す。メンタル面をもりあげていく」と唇を噛んだ。
前半3分、ボールを大きく動かして先制トライを奪ったパナソニックは、相手のミスもモノにして22−8で前半を終えた。東芝は後半の序盤、ペースをつかみかけた。しかし敵陣ゴール前、モールを押し込んだところで笛が鳴る。モールアンプレヤブルの判定に流れは途切れた。
「ああいうシチュエーションが前半からあれば」
和田監督は泣き言を口にしなかったが、悔しい場面だった。
快勝に、パナソニックの堀江翔太主将は笑顔が絶えなかった。若手も活躍。チームが躍動し続けたからだ。
「いいプレーを波なくやってくれた。FWの前に出る力とディフェンスがうまくリンクして、コミュニケーションがとれていた」
最高のムードで2月9日、頂上決戦に挑む。