日本最高峰であるトップリーグで上位4強によるプレーオフトーナメントに臨む東芝は30日、今週土曜日(2月1日)に東京・秩父宮ラグビー場で行われる準決勝(対パナソニック戦)の登録選手を発表した。故障明けの日本代表WTB廣瀬俊朗が司令塔のSOとして復帰。和田賢一監督は「前を向いて、仕掛けられる」とその起用理由を説明した。
また、左目付近の怪我で戦列を離れていたCTB増田慶介が復帰し、本来はCTBの仙波智裕がWTBでメンバー入り。WTB廣瀬のSO起用を含め、和田監督はリーグ戦時と比べて大幅なメンバーの入れ替えを施した格好だ。
27日、東京・府中市の東芝グラウンドでの全体練習時にはこの布陣を試していた指揮官は、その日グラウンドにいた取材記者に「(公式発表前は)書かないでね」と念を押し「より前に出られる、立っていられる、フィジカルなラグビーができる15人(先発)プラス8人(控え)メンバー。自信を持って選んだ」と説明。真横から後ろにのみパスを投げられる競技特性を踏まえ、指揮官はこう語る。
「10番シェイプ(SOを軸にした攻撃陣形)の場合は2つ、3つのパスを介してから接点を持つ。(前進するには)10番自身が前に仕掛けなければ。その点、廣瀬は前に出る力がある」
今回の起用法は以前から「温めていた」と和田監督。縦への推進力という東芝の強みをフルに活かすための腹案だったという。今季トップリーグのセカンドステージでは「ウチには他にも(若い)SOがいる。2〜3年後に向け、彼らに経験を積ませることも大事だった」と吉田良平らをSOで出場させたが、一発勝負のプレーオフにあたり「ここまでのパフォーマンスへの評価と廣瀬のポテンシャルを踏まえ、廣瀬で行くべきだと」。廣瀬本人には、リーグ戦終了後にその旨を伝えた。
セカンドステージ第1節(対トヨタ自動車/2013年12月1日・近鉄花園 ○27−12)以来の出場となる廣瀬は「ずっと試合がしたかったから楽しみ」と語り、「チームの基本戦略を行うのにプラスして、一緒にやる個人の良さ個性が引き出せるようにしたい」と続けた。もともと複数ポジションをこなせる万能BKとして活躍も、SOデイビッド・ヒルが加入した2008年度以来はWTBにほぼ専念していた。
チームは今季、セカンドステージはグループA(ファーストステージの上位8チームからなる)の4位で、同1位のパナソニックには通算0勝2敗と負け越している。選手の入れ替えは王座奪還に繋がるか。プレーオフ準決勝第1試合は2月1日の14時、キックオフとなる。