クルセーダーズに所属する元オールブラックのWTBザック・ギルフォード(24歳)が、今年のスーパーラグビー終了後にフランスのクレルモン・オーヴェルニュに移籍することが明らかになった。10日までに両チームが公式発表。2年契約で3年目はオプションとなる。
2009年に日本で開催されたジュニアワールドチャンピオンシップで、最も輝いたヤングスターだった。U20ニュージーランド代表の優勝に貢献したが、秩父宮ラグビー場に応援に来ていた父ロバートさんが心臓発作を起こし、亡くなるという悲劇を経験した。
辛い時期を乗り越え、同年末の欧州遠征でオールブラックスデビュー。2011年の母国開催ワールドカップにも出場し、カナダ戦では4トライを挙げる活躍を見せた。
才能豊かな選手で、長くオールブラックスで活躍するだろうと期待されたが、ここ数年間は酒におぼれ、全裸騒動や傷害事件など不祥事を何度も起こし、テストマッチ出場は10試合に終わった。
昨年1月にパーティーで飲酒して乱闘騒動を起こしたときは、ファンや関係者の失望は大きく、もうプロラグビー人生を続けることはできないのではないかと心配されたが、ニュージーランドラグビー協会や所属チーム(クルセーダーズ/ホークスベイ)は彼を見捨てることはなく、復活をサポート。無期限で、専門家のもとアルコール依存を治す集中治療を受けさせ、ギルフォードは数カ月後にフィールドに戻ることができた。
ニュージーランドラグビー協会は海外を拠点とする選手をナショナルチームには選出しないため、ギルフォードの2015年ワールドカップ出場はなくなった。ブラックジャージーを取り戻すことはできなかったが、それでも、彼のラグビー人生には新しい道が開かれた。
フランスでフレッシュスタートを切る前に、クルセーダーズの6年ぶりのスーパーラグビー制覇に燃える。