突然の幕切れだった。15日に東京・秩父宮ラグビー場であった大学選手権セカンドステージ・プールCの第2戦、ラストワンプレーでのことだ。
19−20。明大(関東大学対抗戦A 5位扱い)を1点差で追う慶大(関東大学対抗戦A 3位扱い)は自陣深い位置から最後の攻撃に出て、フェーズを重ねる。ボールは、4年のFB児玉健太郎に渡る。
1年時から走力に定評があったエース格とあって、さらなる反攻が期待される場面だった。しかし、FB児玉は、手にしたボールをタッチラインの外へ蹴ってしまう。ノーサイド。指揮官の和田康二監督は「アドバンテージ(反則発生後、プレーを続けた方が反則をされた側に有利になるとレフリーが判断した状況)が出ていると思ったのでしょうけど…」と言い、対する明大のWTB小澤和人は「助かった」と感じた。
試合後、多くの記者に囲まれたFB児玉は「継続してもミスが起こると思った僕の勝手な判断。ボールを持ったらリスクを負ってもチャレンジしよう、と。その考えが裏目に出た」と反省。予想された糾弾に反省しきりだった。
「(キックを)WTBが追ってくれて、最後はラッキーバウンドが出れば、と思っていた」
この人、ルーキーイヤーからレギュラーも3年時はチーム内でのトラブルで戦列を離れた経緯がある。思わぬ事態に直面しても、「自分をもう1人の自分が見られている」という。記者団が去った後、当該のワンシーンからは内なる根本的な課題を見出していた。
「自分が何とかしようという思いでラグビーしてきたことは間違いではない。でも、そうするのであればもっと…。ラグビー生活を振り返ってみて、どこかに甘さがあったのかな、と感じました」
22日、チームは埼玉・熊谷ラグビー場で東海大(関東大学リーグ戦1部4位)とセカンドステージ最終戦を行う。試合後のロッカールームでは、「次に切り替えて行こうと話していました」とFB児玉。東海大とは総勝点8で並び、プールCで逆転1位になるチャンスはまだ残っている。同日、総勝点11の明大が立命大(総勝点6/関西大学Aリーグ1位)に敗れれば、慶大×東海大の勝者は総勝点で明大を上回る可能性があり、引き分けやボーナスポイント(4トライ以上=1点、7点差以内の敗戦=1点)獲得で総勝点が並んだ場合は、得失点差で順位が決まる。
1位になったチームは、来年1月2日の準決勝(東京・国立競技場)に進める。
※ 勝点:勝ち=5点、引き分け=2点、負け=0点
※ BPはボーナスポイント。4トライ以上獲得=1点、7点差以内の敗戦=1点
※ APはアドバンテージポイント。地域所属リーグ戦の1位=3点、2位=2点、3位=1点