勝利の瞬間、抱き合って喜ぶ明治学院大の選手たち。(撮影/松本かおり)
A、Bの2グループ制になって初めてのことだ。
12月7日、熊谷ラグビー場でおこなわれた関東大学対抗戦の入替戦、第1試合。今季Bグループで2位だった明治学院大がAの7位・成蹊大を35-30で破った。明学大は来季、初めて上位グループの「A」で戦うことになった。
先手をとったのは、前週、日体大に33-31で勝った成蹊大だ。骨惜しみしないブレイクダウンワークでリズムを作ると、ボールもよく動く。井上高宗、八木克憲らが攻守でよく働き、14-0とリードを奪う好スタートを切った。「いつも通り、デイフェンスから自分たちペースを作っていこうといっていた」と大塚昂監督。前半を19-7とリードした。
対抗戦Aで揉まれた経験と力を活かし、勝ちきるかのように見えた成蹊大。しかし後半に入ると、防御にいつもの厳しさが感じられなかった。近場は強い。しかし、「いつもと違う感覚」(井上主将)でアウトサイドを崩された。
明学大は高倉知希、池田純主将の両WTBがチャンスメーク、フィニッシャーの両面で活躍した。残り20分強で27-14と成蹊大がリードした試合は、その後、明学大の時間となる。外で崩された成蹊大の防御は、やがて内側の出足もいつもより鈍る。そこを明学大SO上原哲らが走った。
後半26分に逆転すると(27-35)、35分には加点(27-35)。終了間際の成蹊大の反撃をPGだけに抑えて勝利を手にした。
「今シーズンは、春から個々の力を高めていくことに集中してきた。シーズンに入っても相手に対して変わることなく、自分たちのやりたいこと、やるべきことに集中した。戦術などでなく、個々のプレーに周囲がのっかっていく(反応していく)プレーを重ねる。試合の中で勢いに乗れる時間帯が絶対に訪れるから、それを逃さぬよう集中しようといつも言ってきました。きょうは、やってきたことをすべて出し切れたことが嬉しい」
この春から就任した高橋一聡監督は紅潮した顔で言った。
歴史を作った池田主将も笑顔だった。
「楽しむ。試合も練習も、それを大事にしてきた1年。それには、一人ひとりが自主性を持つことが大切。今日はプレーしている選手たち、スタンドの仲間、スタッフ、OB、保護者も含め全員で楽しめたから結果が残った」
大学創立150周年という節目の年に歴史が動いた。