(撮影:KOICHI HIRAYAMA)
関東大学リーグ戦1部が終盤に差し掛かった。昨季7位の大東大では、NO8長谷川崚太がようやく本領を発揮しつつある。16日、東京・江戸川陸上競技場で行われた日大戦では、5−10とリードされた前半29分に相手タックラーを正面から蹴散らしてゴールラインを割り、36−17での勝利に貢献。自身2戦連続となるトライを、「いい状態でボールがもらえた」と前向きに振り返った。
身長188センチ、体重98キロの体躯を誇る2年のNO8長谷川は、50メートルを5秒台後半で走るチーム屈指の突破役。ルーキーイヤーだった前年度からレギュラーとして活躍し、今季就任した青柳勝彦監督にも「身体能力はずば抜けている」と大きく期待されていた。しかし、今季序盤は相手のタックルを受けて仰向けに倒されるなど、長所を発揮しきれなかった。
先輩の負傷が転機となった。10月27日の法大戦で、NO8/FLテビタ・ツポウが右膝を負傷。試合は26−19で勝利も、1学年上で同じ日本航空高校石川出身のランナーが戦線離脱を余儀なくされた。そんななかNO8長谷川は、青柳監督からこう言われたという。
「代わりは、後輩のお前しかいない」
それまでは複数の役割をこなそうとするあまり、プレー選択に迷う向きがあった。しかしここからは、自らの仕事を突破役にほぼ限定。11月2日、NO8/FLツポウを欠いた東海大戦(東京・キヤノンスポーツパーク)では、前半21分に今季初となるトライを決めた。
「思いっきり、やれました。やらなきゃいけないという気持ち、入りました。穴を埋めるのに必死です」
普段は、4年生CTB梶伊織と連携を図る。「どういうふうにボールをもらいたいかの声」「深いポジション(相手との距離のある立ち位置)への早いセット」を徹底できるようになり、結果、持ち味を活かしやすくなった。日大戦でのトライについては、「ディフェンスと自分との間にスペースがあった。(タックラーとは)正面から当たって、少し弾いて、その下をくぐるような感じで抜けました」と振り帰った。
チームは現在、4勝2敗で勝点18をマークしている。1試合を残して8チーム中3位を確定させ、大学選手権に出場できる上位5チーム以内に入った。大一番でのビッグゲインが期待されるNO8長谷川は、「大学選手権は自分にとって初めての経験。自分のいまのラグビーが上の人にどれだけ通用するか楽しみです。多くのことは考えないで、いまの大東大のラグビーを100パーセントこなしたい」。まずは24日、埼玉・熊谷ラグビー場で、今季6季ぶりに昇格した立正大とリーグ戦のラストゲームを行う。