終始攻め続けて22年ぶりの花園を決めた目黒学院。(撮影/井田新輔)
自分たちの道を貫いた2チームが『花園』への切符をつかんだ。高校ラグビーの全国大会、東京都の代表チームは目黒学院(第1地区)、東京(第2地区)となった。
11月10日、秩父宮ラグビー場。第1試合は目黒学院×東京朝鮮高校だった。
1回戦から勝ち上がり、これが今大会6試合目となった東京朝高は気合い十分で戦いに挑んだ。しかし、青い矢は刺されなかった。キックオフボールを受けて走る目黒NO8テビタ・タタフに、チームの元気者であるFL張仁徳が勇敢にタックル。しかし、はじき飛ばされた。地面に倒れた張は担架でピッチの外に出された。
接点で圧倒した目黒学院は、その後も支配を続けた。
6分、ラインアウト後のモールからモールを組み、PR小木曽晃大が先制トライ。13分にも同様の形でふたたびインゴールに入ると、20分にも小木曽がモールから抜け出してトライを追加する。FB細淵康史のコンバージョンキックも見事にコントロールされ、結局前半だけで7トライ、6コンバージョン。目黒学院が47-0と大きくリードを奪った。
後半も勢いは衰えない。NO8タタフ、SOアタアタ・モエアキオラだけでなく、CTB古川拓実主将の攻守にわたるリーダーシップもチームに安定感を与えた。78-0の完勝だった。
優勝を決めた幡釜孝彦監督は、1991年度以来22年ぶりに花園への出場権(当時は目黒高校)を手にして「長かった…」と感激を噛みしめた。
「練習でいつもやっていることをそのままやってくれた。ここからの6週間でひと化け、ふた化けできると思っています」
過去、全国大会で5度の優勝を誇る同校の初優勝を3年生時に経験している同監督。部の基礎を作った名将・梅木恒明氏(10月29日に逝去)のもとでコーチも務め、指導経験は長い。全国大会までのアプローチ、聖地での勝ち方は知っていると語る表情には、達成感とともに決意も滲んでいた。
東京高校は攻守とも前に出続けた。(撮影/井田新輔)
第2試合(第2地区)では、22年連続で花園に出場し続けていた國學院久我山が沈んだ。25-12と完勝した東京高校は、部史上初の3年連続全国大会出場だ。
勝者は前半から前へ出続けた。風上に立っても簡単には蹴らず、ボールを持って走り、自分たちのテンポを作った。前半1分に連続攻撃から好機をつかむとFB伊藤大地主将が先制トライを奪う。11分に5点を返されるも、19分にPGで加点、23分にモールを押し込んで前半を15-5とリードした。
後半は、長い歳月をかけて積み上げてきたデイフェンスで勝利を決定づけた。迷いのないシャローデイフェンスで前へ、前へ。ビッグヒットを連発し、常勝チームを後退させた。その集中力は攻撃にも生きる。2分、7分とトライを奪い25-5。完勝だった。
お互いのチーム力がピークを迎える秋に初めて久我山に勝った。森秀胤監督は、選手たちのパフォーマンスに胸を張った。
「タックルし続けて、久我山の選手たちが個々で抜きにこようとしたらチャンスと言っていた。我慢強くプレーしてくれた」
伊藤主将も話した。
「試合中も全員笑顔で声を掛け合えました。最高の試合。ディフェンスの勝利。一人ひとりが体を当て続けたから勝てた」
最高の笑顔だった。