ラグビーリパブリック

パナソニックHO堀江主将 国内外で「○○仕様」を使い分ける

2013.10.04


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新キャプテンとしてパナソニックを牽引する堀江翔太
(撮影:Hiroaki. UENO)


 



 豪州・レベルズでプレーし、日本で2人目のスーパーラグビー(南半球最高峰リーグ=SR)プレーヤーとなったパナソニックのHO堀江翔太主将は、国内外でプレースタイルを使い分けると決断。今季は国内最高峰のトップリーグ(TL)でも「SR仕様」のプレーを心がけてきたが、前節は勝利を優先して「TL仕様」で臨んだ。



 ハンドリングスキルと走力に長けたHO堀江。先の海外挑戦を通し、「HOっぽい仕事」を重視するようになっていた。日本よりも肉弾戦が激しい列強国では、本来のプレースタイルを貫くより泥臭い仕事を重ねることで信頼が得られた。「(接点に)しっかり入らんと、相手の(動きの)リズムをより生んでまうんでねぇ」。いわば「SR仕様」のスタイルを確立。日本代表としてのテストマッチ(国同士の真剣勝負)、今季TLの序盤戦にも、その意識で臨んでいた。



 しかし、上位争いの常連のはずのチームは、今季、開幕から3戦でわずか1勝に止まる。第2節では昇格2年目のキヤノンに18−23で敗れ(東京・秩父宮ラグビー場)、前年度6位のヤマハとの第3節は、終盤に追いつかれて13−13の引き分けに終わった(静岡・ヤマハスタジアム)。



 そこで第4節を前に、HO堀江は「TL仕様」への回帰を図った。身体を張る味方も多いだけに、自分が「脇役」に回らずともチームは互角に戦えている。持ち前のスキルと運動量を活かし、苦しむチームの勝利を最優先しようと決断したのだ。比較的スピーディーな国内の試合展開にあって、「TLのHOにチャレンジしていかな、と思いました」。



 9月29日、栃木・足利市総合運動公園陸上競技場 。試合終盤に経験豊富な選手を並べたいというチーム方針に沿い、今年度3季ぶりに昇格したクボタとのゲームには後半6分から出場した。



 10−10の同点で迎えた10分だ。チームは連続攻撃を繰り出し、敵陣22メートルを越える。右タッチライン付近でパスを受けたHO堀江は、守備網の背後に短いキックを放つ。WTB北川智規副将のトライを導き、勝ち越した。結果、34−16と快勝した。



「TLは、SRだったら出ない(接点からの)ボールも出ているんで。出ているんやったら、動いて(身体を張るのとは)違うことをした方がチームのためになるかなって」



 この日は日本代表のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチが観戦。世界では「SR仕様」のプレーが求められているとあって、「怒られるんとちゃいますか。あのキック」と笑った。



「その辺はわかってるって、エディーさんに伝えといてください」



 2つのスタイルを使い分けるHO堀江は5日、埼玉・熊谷ラグビー場でコカ・コーラウエストとのTL第5節を戦い、7日からは11月のテストマッチに備えて日本代表の候補合宿に参加する。


(文・向風見也)


 

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