長期低迷していたブランビーズ(オーストラリア)をわずか2年で再建した知将、ジェイク・ホワイト氏(50歳)が、契約満了まであと2年あるにもかかわらず、電撃退団することが決まった。
これまで、『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙など複数メディアが、契約解除を求めたホワイト ヘッドコーチのリクエストをブランビーズのCEO(最高経営責任者)が受け入れたと報じていたが、26日午後、ブランビーズ側が正式にこれを認めた。現在、南アフリカ人のホワイト氏は母国へ帰国しており、退団の主な理由は、家族との時間を優先するためといわれている。オーストラリア代表として南アに遠征中のブランビーズ主将、ベン・モーウェンとも先日会談し、辞任の意志を伝えたという。
U21南ア代表を世界一に導いたあと、2004年からスプリングボックス(南ア代表)のヘッドコーチに就任し、同年のトライネーションズ(南半球3カ国対抗戦)制覇と、2007年ワールドカップ優勝を成し遂げた世界的名将。IRB(国際ラグビーボード)の最優秀コーチ賞にも2度輝いたホワイト氏は、2011年のスーパーラグビーで13位のどん底に沈んでいたブランビーズの指揮官を引き受け、わずか2年でオーストラリア・カンファレンス制覇と決勝進出を果たした(2013スーパーラグビー準優勝)。また今年6月には、イングランド、ウエールズ、スコットランド、アイルランドの一流選手を集めて結成されたブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズから歴史的勝利を収め(14−12)、彼の手腕に対する評価はさらに高まった。
インターナショナルラグビー(国代表戦)への再挑戦に強い意欲を持ち、オーストラリア代表の次期ヘッドコーチ候補として名前を挙げられながら、ユーアン・マッケンジー氏にその座を奪われたホワイト氏。「オーストラリア代表の再建はオーストラリア人の手で」という意思を明確にした同国ラグビー界への失望も、今回の辞任に大きく影響したと思われる。
数々の成功を収めたラグビー界屈指の理論家ゆえ、今後は世界中からアプローチがあるのは確実だ。
南ア国内勢では、ストーマーズとシャークスが紙面をにぎわせている。
ホワイト氏は最近、ストーマーズの母体であるウェスタン・プロヴィンスのトレーニングに顔を出していたとの情報があり、同チームはいまのところコーチングスタッフ入りを否定しているものの、悲願のスーパーラグビー初優勝に向けて最高ブレインを受け入れる可能性はある。
シャークスは、ホワイト氏とは強い信頼関係で結ばれている元南ア代表主将のジョン・スミット氏が新CEOに就任しており、獲得に動くかもしれない。
海外勢では、フランスの強豪クレルモン・オーヴェルニュが浮上。同クラブは、ヴァーン・コッター現ヘッドコーチが2014年からスコットランド代表の指揮官になることが決定しているため、ホワイト氏も有力な後任候補となるだろう。
一方、ブランビーズの次の指揮官候補には、アシスタントコーチを務めていたスティーヴン・ラーカム氏や、元ヘッドコーチであるローリー・フィッシャー氏の名前が挙がっている。