サクラセブンズ、もう一歩。ARFUアジア女子セブンズシリーズ2013
第1戦「タイセブンズ」で準優勝。(撮影/出村謙知)
2週間前の15人制W杯予選での雪辱に燃えた。そのカップ準決勝、カザフスタン戦までは完璧だった。
ARFUアジア女子セブンズシリーズ2013第1戦「タイセブンズ」。大会初日のプール戦では韓国、中華台北を終始圧倒し、28-0、41-0。「ずっとやってきている早いリロード、正確なコールの完成度としてはまだまだ」(中村知春キャプテン)と課題も見えたが、横殴りの雨が降り続く、厳しいコンディションの中での試合だった。2試合連続での零封は十分評価していいものだった。
「今回のツアーのテーマは自分がボールキャリアーになった時、ホグ(いのしし)のように、どれだけ前に出られるか。ホグの部分はやろうとしているのが見えた」
悪コンディションの中、2試合で12トライ。その戦いぶりに浅見敬子ヘッドコーチも手応えを感じている様子だった。
大会2日目。カップセミファイナルの相手は予想どおりカザフスタンだった。前述通り、9月7日に敵地アルマティで行われた女子W杯2014アジア地区予選決勝で敗れた相手。リベンジの気持ちを込めた。そしてそれ以上に、『サクラセブンズ』がアジアの壁を越え、「アジアの中では中国よりもフィジカルは強い」(鈴木実沙紀)というこの相手こそ、世界で戦っていくためにも絶対に倒すべき相手だった。
世界レベルのフィジカルな相手に、日本は立ち上がりから積極的に攻め続けた。
ハンドリングエラーやペナルティが響いてなかなか得点には至らなかったものの、前半終了間際にPKからしっかり攻める。大黒田裕芽のトライで先制すると、後半にも2トライを重ね、3試合連続となる完封勝ちを手にした。
「カザフスタンに体を当てて、走り切って、あのスコアで勝てたというのは、私たちの強みにしていきたい」
2週間前の15人制時にキャプテンを務めた鈴木実沙紀の言葉だ。世界へのチャレンジに手応えを感じたセミファイナルだった。
そしてカップファイナル。自信を持って挑んだ決戦で対したのは中国だった。
前半1分、いきなりトライを奪われる。しかし、5分に反撃開始。先制トライを許した際にタックルミスでピンチを広げた中村キャプテンが、汚名挽回とばかりに積極的なランを見せ、最後は右ライン際を山口真理恵が駆け抜けた。
続く6分にも、積極的に攻める。相手ゴール前で得たPKから大黒田がそのまま突破し、逆転した。
いいかたちで迎えたハーフタイム。しかし後半に入ると、やや消極的なプレーが目につくようになった。後半6分、再びタックルミスから中国に逆転トライを許し10-14。終盤、中国に2人のシンビン(一時退場者)が出たものの、攻めきれずにそのまま4点差で涙をのんだ。
「最後のていねいさ。いままでも自分たちのミスで終わる試合が多く、今回もボールを出す責任、パスを出す責任など『思いやり』をテーマにしてきましたが、最後はそこの部分でバタバタしてしまった」(浅見ヘッドコーチ)
中国へのリベンジのチャンスは10月26日、27日に上海で行われる予定の「アジアパシフィック女子セブンズ2013」となる。
(文/出村謙知)