早明戦満員のためには、「その日まで両校が全勝でいること」。全員一致の思いだった。
早明の両伝統校があたためてきたプロジェクトだ。現行の国立競技場での開催は今年が最後となる早明戦(12月1日)。両校は、「国立をホームにしよう」プロジェクトを企画し、準備を進めてきた。そして9月9日、改めて同プロジェクトの発表イベントが開かれた。
会見の場となったのは国立競技場。早大・後藤禎和監督、垣永真之介主将、明大・丹羽政彦監督、圓生正義主将が報道陣の前に並んだ。なぜプロジェクトを立ち上げたのか。多くのファンに足を運んでもらうためにやってきたこと。やっていくこと。熱い思いがあふれ出た。
1980年代は6万人をファンが国立競技場に詰めかけていた伝統の一戦。しかし近年は、観客数も減少気味だ。1981年には6万6999人が詰めかけた。それが昨年は3万2132人。そんな現状に両ラグビー部がスクラムを組んで、プロジェクト成功へ向けて前進する。目指すのは、両校OB、学生などにさまざまなアプローチを試みて、それぞれ1万人規模の増員を実現。満員のスタンドが目標だ。
オールドファンのみならず新しい世代である学生たちへ、早明戦の魅力を伝え、この先も盛り上がり続けることを願っている。早大・後藤監督は「満員にできればラグビー界だけでなく、日本のスポーツ文化の再構築にもつながると思う」。明大・丹羽監督は、すでに起こしている行動の感触を口にし、「メイジの関係者は本当にラグビーが好きです。反応はいいですよ。毎年12月になると失速気味となるシーズンが続いているので、今年こそは」と語った。
初めての早明戦出場が1年時、「関東大学対抗戦の優勝がかかった一戦でした」と振り返った早大・垣永主将は、「大学に入ってからの自分のベストゲーム。もう一度、あの空気を味わいたい。それが(あれだけのファンが集まることが)ラグビーの発展にもつながるはず」と語った。明大・圓生主将は、「目の前の試合を大切にしていかないといけないけど、特別な試合ととらえていきたい」とし、「春はFWで得点できることがなかったけど、夏をこえて力がついてきた」。決戦に向けて高まりつつあるチーム力を口にした。
会見後には両校の部員、両校の一般学生あわせて300人超がグラウンドで、校歌や応援歌をうたい、プロジェクトの成功を誓った。決戦の日まで4か月弱。試合当日は、多くの人が手を取り合ってスタジアムに向かうことを夢見ている。
両校部員、学生あわせて300人超。プロジェクトの成功に向け一致団結