苦しみながらの頂点に、歓喜の表情を見せた男子7人制日本代表(写真/南 大庸)
マレーシアのクアラルンプールで開催されていたHSBCアジアセブンズシリーズ2013第1戦、「マレーシアセブンズ」(8月31日〜9月1日)で優勝した男子7人制日本代表。大会2日目となった9月1日は、準々決勝でタイを49-0と破り快調な滑り出しを見せたものの、その後はクロスゲームの連続。韓国を15-7、香港を14-10と破ってのカップ(最上位トーナメント)優勝は、実は苦しんで手にした大きな勲章だった。
初日から大活躍のロマノ・レメキ(ホンダ)のトライで始まった2日目。伊藤拓巳(NTTコム)が2トライ、江見翔太(学習院大)も走り、相手を終始圧倒した。さらに、レメキの活躍で先発を外れたジェイミー・ヘンリー(PSIコストカッツ )の奮起も。期待は高まった。
しかし、今回のツアーメンバーは若い。頂点へと続く道は曲がりくねっていた。
35度を超える気温。高い湿気。激しい雷雨もあって、大会は約2時間中断した。韓国戦はピッチに立つまでの過ごし方が難しく、実際の試合でも後手を踏んでしまった。
韓国の快速プレーヤーに大外を抜かれて先制を許す。雨でぬかるんだピッチに、レメキ、ロテ・トゥキリ(北海道バーバリアンズ)らが思うように動けない。リードを許したまま前半を終えた。
後半、ジャパン待望のトライを奪ったのはスタメンを外れ、途中出場のヘンリーだ。意地のプレーに、いい流れをつかんだかと思われたが、レメキがハイタックルでイエローカードを受ける…。重い空気が流れる。相手が勢いを手にしかける。そんなピンチを救ったのが鈴木貴士(クボタ)のトライだった。ベテランのビッグプレーが斎藤春樹(東京ガス)のトライも呼び、辛くもファイナルに駒を進めた。
そして、香港との頂上決戦も14-10の勝利と、最後の最後まで栄冠の行方は分からなかった。
前半2分、生方信孝(ホンダ)の先制トライ、染山茂範(中国電力)のゴールで先制するも、ハーフタイム直前と後半3分にトライを奪われ7-10とリードを許してしまう。ただ、ジャパンには執念があった。
我慢強いプレーを続け、相手反則を誘う。香港はシンビンで選手を失う。数的優位に立ったジャパンはヘンリーが突破、ラストパスが放たれる。それを受けた伊藤がトライラインを駆け抜けた。残り1分で生まれた逆転トライで、頂点にたどり着いた。
大会MVPはロマノ・レメキ。新たなメンバーたちが苦しみながらも結果を手にしたことで、チームには厚味が増した。そして、今季最初の目標であるアジアシリーズ王者へ、着実に歩を進めた。
(リポート/南 大庸)