ニュージーランドラグビー界で最も権威ある盾の輝きを、田中史朗が間近で見ていられたのは、わずか10日間だった。8月23日にワイカトから『ランファリーシールド』を奪取したオタゴは、9月1日に地元ダニーデンの大観衆が見守るなかホークスベイと対戦し、19−20で敗れ、盾の防衛に失敗した。
オタゴの9番をつけた田中は、出足鋭いタックルで相手にプレッシャーをかけ続けるなど、後半の63分にベンチへ下がるまで奮闘。
チームは序盤にペナルティゴール2本成功で主導権を握っていたが、次第にホークスベイのバックス陣が躍動しはじめ、流れが変わった。32分にCTBリチャード・バックマンの見事なオフロードが実を結ぶと、57分にはSOイハイア・ウエストが田中を振り切ってハーフウェイから抜け出し、2トライ目を獲得。
追う立場となったオタゴは、1トライ返したあと、73分にはWTBバクストン・ポポアリイもゴールラインを越えて1点差に迫ったが、タッチライン近くからSOヘイデン・パーカーが放ったコンバージョンキックは左へ外れ、試合終了直前のドロップゴールもホークスベイが必死にチャージし、勝利の女神はチャレンジャーに微笑んだ。
ホークスベイは44年ぶりにランファリーシールドを獲得。タイトルホルダーとなり、9月7日に、元オールブラックス主将のタナ・ウマンガが指揮官を務めるカウンティーズ・マヌカウの挑戦を受ける。