<ジャパンラグビートップリーグ 2013−2014 第1節>
サントリー 32 − 6 NTTコム
(2013年8月30日/東京・秩父宮ラグビー場)
挑戦者が王者に勝つには、プレーの起点を制圧したい。キックオフ直後、敵陣22メートル戦付近。前年度9位のNTTコムは、昨季王者であるサントリー側のスクラムを迎え撃つ。最初に互いの服を掴む際、相手がフライング気味にもたれかかって来た。大槻卓レフリーの判断で組み直しすると、チャレンジャーは強くプッシュした。
しかし後に、押せたはずのHO白隆尚は後悔する。「最後の最後、僕らが塊となって押し切れなかった」。圧力をかけたのに、球を取れなかったからだ。耐えたチャンプは、用意した型通りに攻めを重ねる。逆襲は、WTB小野澤宏時の先制点に繋がった。
以後、サントリーは水を得た魚となる。一方NTTコムは、得意なスクラムでも苦しみ出す。前半29分、自陣ゴール前でHO白の左の亀裂を突かれ、ターンオーバーを許した。最後はぽっかり空いた区画を、2季連続リーグ戦MVPのFLジョージ・スミスが射抜く。ゴール決まり、19−6。
後半は攻める方向を誤り停滞したというサントリーだが、序盤の要所で光を放ち白星発進した。
(文・向風見也)