妥協なき姿勢で先頭に立つ堀江翔太主将
日本最高峰のラグビートップリーグ(TL)で6季連続4強入りのパナソニックは、10年度以来の王座奪還に向け「完璧」と中嶋則文監督が太鼓判を押す。23日には前年度までTLに所属したサニックスとの練習試合を41ー7で制し、31日、昨季TL7位・近鉄との開幕節に臨む(大阪・キンチョウスタジアム)。
サニックス戦。状況に応じて変わるシェイプ(型)での攻撃と、持ち前の鋭く前に出る組織守備が機能した。前年度まで主将を務めたCTB霜村誠一は、HO堀江翔太新主将を「上手く行っている時でも『もっと』と。厳しい」と評す。後継者のリーダーシップがチームに好影響をもたらしているようだ。指揮官も終始、前向きな言葉を続けた。
「完璧、じゃないですか。夏合宿(7月24日〜8月5日・北海道)を終えてから、もう一度『ディフェンスを強みにしよう』と取り組んできた。点差が開いても集中力を切らさずに守れた。チームとしては上手く行っている。あとは近鉄さんに対して何をするべきか、準備する」
アグレッシブさを引き出したいからか、FB田邉淳が「開幕に向け、怪我をしたくないという思いが少なからずあったのか…」と語るなど、上昇気流に乗ったチームにも反省材料はある。しかし、そのFB田邉自身、目指す戦い方がチーム内に浸透したことは認めている。
選手層も厚み増した。南アフリカ48キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)のJPピーターセンが後半から出場、身長190センチ、体重102キロの体躯で駆け回った。2トライを挙げ、接点や守備の局面でも存在感を示した。FB田邉は「80分、戦える選手。あのサイズとスピードは相手にとっては驚異でしょう」と唸った。
開幕直前になり、前年度のトライ王も合流した。6月下旬からニュージーランドでプレーしていたWTB山田章仁がこの日、国内では今季初めての試合出場を果たす。一時は故障者の代理でITMカップ(地域代表選手権)のオタゴ代表入りが果たせる向きもあったが、帰国することとなった。「国が変わってもやることは変わらない。日本代表にとって理想のWTBを目指す」と初のキャップ取得に意欲を覗かせた。
(文・向 風見也)