春にはジュニア・ジャパンでも鍛えられた重一生
(撮影:松本かおり)
関東大学対抗戦Aの昨季1位で大学選手権4連覇中の帝京大にあって、新人のFB重一生が試合感覚のリカバリーと定位置奪取を狙う。
春先は右肩の負傷で出遅れたが、長野・菅平での合宿(12〜27日)では17日の明大戦、21日の慶大戦と、対抗戦所属チームとの練習試合で途中出場を果たす。本人によれば、「15日にフルコンタクト(全力でのプレー)OK」との診断を受けたばかりだった。復帰直後の明大とのゲームはFBで出場も、「まだゲームの感覚が鈍っていて、前を見るところ(意識)とコミュニケーション力が落ちている。合宿中に取り戻したい」と不完全燃焼に終わった。
身長170センチ、体重82キロ。小柄ながら体幹の強さとボール奪取能力の高さを示す重は、SHとFBを兼任して大阪・常翔学園を高校日本一に導いた。3月中旬からは約1カ月間、日本ラグビー協会の若手育成計画である「ジュニア・ジャパン」の一員としてニュージーランド、オーストラリアで転戦。スーパーラグビー(南半球最高峰リーグ)の予備軍とぶつかり、貴重な国際経験を積んできた。
異彩を放つ若者には、チームの岩出雅之監督も視線を向ける。明大戦後は「長い目で見守っていただければ」と評した。周囲との連携不足から攻撃機会の限られた重だが、ノーサイド直前には3つの局面で連続してタックルするなど生来の負けん気も覗かせた。「ボールに触れてもノックオンしたり、相手を抜きに行っても味方とぶつかったり…。自分のハンドリングスキルと味方とのコミュニケーションはまだまだ課題」と話した。
「(タックル連発の場面は)ミスしただけで終われなかったので、必死に行きました。練習試合で思い切ったプレーをして自信をつけて、頑張ってAの人(主力)からポジションを奪いたいです」
チームは25日、対抗戦の早大と練習試合を行い、9月15日の対抗戦初戦(東京・日野の帝京大での成蹊大戦)に備える。
(文・向風見也)