昨季の関東大学リーグ戦5位の日大で主将を務めたSH小川高廣は、接点の周りを鋭く回るスキッパーだった。今季から日本最高峰トップリーグ(TL)の前年度準チャンプ、東芝に入部。新天地では「1人ひとりのレベルが高い。なかなか持ち味を出せない」と暗中模索しているが、春先の経験から確かな手応えを掴んでもいる。
3月上旬から約1カ月間、日本協会の若手育成計画である「ジュニア・ジャパン」のメンバーとして、パシフィック・ラグビーカップに参戦した。オーストラリアやニュージーランドで、南半球トップレベルリーグであるスーパーラグビーの予備軍を相手に6戦全敗を喫した。
SH小川は「1試合、1試合がきつかった。ブレイクダウン(ボール争奪局面)で負けていて…」と総括する一方、「日本と違ってやりやすい部分もあった」と話している。「あ、ここ行けちゃうんだ、と」。相手のパワーに屈するなかでも、得意のランを仕掛ければしばし小さなスペースをこじ開けられた。
「視察に来ていたエディーさん(ジョーンズ 日本代表ヘッドコーチ)にも大分、怒られました。『オソイ!』って」と苦笑するSH小川。チームでは、SH藤井淳を始めとした日本代表経験者らとの定位置争いの渦中だ。貴重な経験を糧に、さらなる成長を遂げられるか。
(文・向風見也)