日本最高峰のラグビートップリーグ(TL)で昨季6位のヤマハには、新人PR山本幸輝がいる。スクラムでの強靭さで、関西大学Aリーグの近畿大時代から注目されていた逸材だ。春の南半球での体験、ヤマハでの部内競争から、さらなるバージョンアップを狙う。
3月上旬から約1カ月間、日本協会の若手育成計画である「ジュニア・ジャパン」のメンバーとして、パシフィック・ラグビーカップに参戦。オーストラリアやニュージーランドで、南半球トップレベルリーグであるスーパーラグビーの予備軍とぶつかった。肉弾戦で圧倒され、6戦全敗を喫した。目が覚めた。
「いままではスクラムで勝てれば…と思っていた。重みを活かしてブレイクダウン(ボール争奪局面)からきちんと球を出したりと、15人でラグビーをする意識をもっと強く持とうと思いました」
本職は右PRも、帰国後は故障者の兼ね合いもあり左PRとして練習試合に出場。元日本代表の左PRである長谷川慎FWコーチから「練習では右PRと組める。いい経験になる」と言われ、置かれた状況を前向きに捉えている。2003、07年とワールドカップに2大会連続出場の山村亮、これまで5チームを渡り歩いてきた田村義和と、チームには経験豊富な右PRが揃う。期待の新人は「2人のいいところを盗みたい」と意気込むのである。
TL は8月30日、開幕。ヤマハの初陣は31日、クボタ戦となる(大阪・金鳥スタジアム)。新たな知見に触れた新人の出場は、果たして叶うだろうか。
(文・向風見也)