ロシアに敗れ、ボウル準優勝の男子7人制日本代表。(撮影/長尾亜紀)
世界の舞台に立つたびに深く認識する。コアチーム入りできていないことの重さについて。
日本のワールドカップ・セブンズが終わった。ボウルトーナメント決勝に進出した男子7人制日本代表は、地元ファンのロシアコールが響く中、ホスト国の男たちに5-29で負けた。
プールBでスコットランド(17-19)、南アフリカ(0-33)に負けたものの、ロシアとは引き分け(12-12)て同組3位となったジャパン。ボウルトーナメントではフィリピンに圧勝(50-0)、グルジアに逆転勝ち(21-24)と上向きの調子でファイナルに臨んだ。しかし、ぬかるんだピッチに苦しむ。試合を重ねるごとに高まっていたボールの動きが止まった。防御で鋭く出られなかった。ボールを動かすスタイルと俊敏性を出し切れなかった。
前半、相手キックへのチェイスで競り負けて先制トライを許す。自陣ゴール前のラインアウトからの攻撃でパスカットされ、追加点も許した。終了間際にレプハ・ラトゥイラがタッチ際のラックから持ち出し、ライン際を走り切ってトライを返したが、そこまで。後半は相手の重く、単調な攻撃に耐えきれず、外にスペースを与えて3トライを許した。
ベテランの桑水流裕策は、「この大会、日本のスタイルを出せたらいい戦いができ、出せないと負けた。どんな状況でもスタイルを出せるようにならないと。(雨の中)全員で下のボールにもっと体を張らないといけなかった」と語った。
全敗に終わった前回ワールドカップは苦い思い出だ。
「今回2勝できたのは日本のセブンズが進化したからだと思います。ただ、世界も進化している。もっと高めるには…コアチームに入りたい。強度の高い準備を続けてこの大会に乗り込めました。そうしたら(ボウルだけど)決勝まで行けた。だから、(コアチームに入って)強度の高い試合が日常になれば変わる」
でも、コアチームに入るのが難しい。実現するには、「世界8強の目標は決して下げず、くり返し、くり返し、強度の高い練習を意識高くやっていくしかない」と語った。近道はない。
スコットランドに競り負けた。南アフリカに大敗。ロシアには、スタイルを出せたら勝ち、条件が悪ければ完敗。フィリピンに大勝し、グルジアに動き勝てたのも含め、互いの国の現況がそのまま結果に反映された大会だった。選手たちの必死さは伝わった。ただ驚きはなかった。
瀬川智広ヘッドコーチは、「最後に結果が出せず残念。(雨で)コンディションが悪く、こちらから激しいプレッシャーをかけられなかった」と言った。
「ベスト8の目標に届かず悔しい。選手たちはよくやった。ただ、世界と戦うには個々の力が足りないところも多い。高めていくしかない」
坂井克行主将も、「ロシアとの差は感じなかった。ただ、個々がもっとタフにならないと」と話した。
タフになりたい。タフにならないと勝てない。そして、タフな世界に身を置きたい。
フィジカルの徹底強化。フィットネス向上のさらなる追求と、技術、判断の精度アップ。戦術の再考。強化ポイントは山積みだ。現状でもやれることはもっとある。しかし、もっといい環境なら、やれることはもっと増える。そうやってコアチーム入りを実現しないと置いていかれるのが、いまのセブンズだ。
迷っている時間はない。近道はないけれど、遠回りしているうちに手遅れになる。