昨季は関東大学リーグ戦1部を制し大学選手権4強入りも果たした東海大。春先は「素の部分」の強化に注力したという木村季由監督のもと、低い姿勢でのコンタクトと組織守備の整備の徹底を目指している。
「あれも、これもできると頭で考えても、春に(多くのことは)できない。『こうやろう』とテーマをフォーカスして、それを着実に、1つひとつやりきっていく。そこがチームの成長には必要な要素。春に、ぶれない軸をどれだけ作れるか」
本来はボールを大きく動かすラグビーを志向する木村監督だが、「身体を張ろう、と。春はそこしかやってない。局面で後手に回らないようにしっかりやりましょう、と。ボールが動くのはその先」。前年度からレギュラーだったHO崩光瑠によれば、「人数で余られる(相手が数的優位を作る)状況をなくす」ための守備ラインの習得に時間を割いている。
前年度は、先発の全員が体重100キロ超という力感あるFW陣が目立った。今季はその核をなしたLO三上匠主将、FL谷昌樹(以上パナソニック)、1年時から試合に出ていたSO阪本圭輔(サントリー)ら多くのメンバーが卒業。指揮官は、「今年も上のレベルの選手は、これまでの共通認識を持っている。ただ、去年まで下のチームにいた選手も(春の試合に)出ている。春は底上げをしたい」と話す。
「突出したメンバーはいない。総合力を上げるなかで、(際立つ)個が出てくればいいかなと。地道にトレーニングしていると、必ずぎゅっと上がって来る選手がいます」
2日、神奈川・東海大グラウンド。第2回関東大学春季大会の2戦目では、教育実習のPR坂尻龍之介主将、7人制日本代表候補として第2回セブンズシニアアカデミー(5月21日〜6月3日・フィジー)に参加中のWTB小原政佑など複数の主力が欠場。しかし、春から注力した守備が機能し、関東大学対抗戦Aの昨季王者である明大(筑波大、帝京大と同率優勝)を17−0で制した。連携不足の感を覗かせたセットプレーや攻め込んでの反則など、「(課題を)突付けば色々出てくる」とする指揮官だが、「ディフェンス(ライン)の速いセット、(コンタクトの)低さ」には満足した。HO崩は「飛び込んでずらされた(タックルをかわされた)部分があった。確実に仕留められるようになればもっと良くなる」と反省した。
今春まで東海大仰星高監督だった土井崇司氏も、同大のテクニカルアドバイザーとして時折グラウンドに立つ。木村監督は、「2〜3カ月に1度くらい。付属校も含めた一環強化(のプラン)を立ち上げている。(土井氏とは)それを含めた会議をして、グラウンドでもアドバイスをもらう」と説明する。
(文・向風見也)