格上トンガ代表との試合で厳しくも貴重なレッスンを受けた日本代表WTB藤田慶和(写真中央)
(撮影:松本かおり)
<IRB パシフィック・ネーションズカップ 2013>
日本 17 − 27 トンガ
(5月25日/神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場)
日本にあって期待の新星と謳われる19歳、WTB藤田慶和が、自陣の深い位置でパスを受ける。しかし、目の前の守備網に穴を見つけられず。高い上体のまま相手に衝突し、トンガのFLハレ・ティーポレに球をもぎ取られた。こうして前半12分の失点を招き、「低く当たっていれば」と悔やむのだった。
結局、ジャパンは17ー27で敗れた。テンポの速い連続攻撃を志向するも、その前提にあるべき接点からの素早い球出しに苦しんだ。失点した場面のWTB藤田のようにボール保持者の姿勢が高くなったり、ランナーへのサポートが遅れたり。
特に、援護の遅れは攻めの停滞を招いた。現在の日本代表では、「シェイプ」というアタックの陣形が命綱だ。相手の力に気圧されてボール争奪局面に想定以上の人が割かれた際は、「シェイプ」の形成がやや遅れる。その循環が、かすかなサポートのしづらさを招いたようだ。
「どこかで誰かの気持ちが切れたら、(別の選手が)孤立する」とCTB立川理道。力勝負を、接点への素早い働きかけと個々の献身ぶりで乗り切る。解散まで約1カ月間。そんな理想をどこまで突き詰められるか。
(文・向風見也)