ファーストグレードデビューを果たし、先頭を切って花道を出る城彰。
(撮影/YASU TAKAHASHI)
拍手のトンネルの先頭には、ジャパニーズ・プロップがいた。
オーストラリアはシドニーの強豪クラブ、シドニーユニバーシティーに留学中の城彰(キヤノンイーグルス)が5月10日、ファーストグレードの試合に出場した。
4月1日より始まったシドニーでのラグビー留学。城はフォース(4th)グレードから奮闘し、最近はサードグレードの先発に定着していた。しかしシドニーユニのイベントも兼ねたホームゲーム(ナイトゲーム)に、クリス・マローンヘッドコーチは城を飛び級でファーストグレードのリザーブに抜擢したのだ。
相手は、今季開幕より好調のノーザン・サバーブス(通称ノース)。前半よりシドニーユニがキャプテンのティム・デビッドソン(NO8/レベルズ)、トム・カーター(CTB/ワラタス)らを中心にゲームの主導権を握ると、後半もその手を休めることなく加点。4トライのボーナスポイントを得ると、リザーブの選手を投入し、後半30分、城に出番が回ってきた。右プロップとして出場した城はわずかなプレー時間も、安定したスクラムと体を張ったディフェンスで首脳陣にアピール。スーパーラグビーの面々を含むチームメートからも高い評価を受けた(41-13でシドニーユニの勝利)。試合後の両チームによる『花道』では、チームメートに促されてファースト・デビューを果たした城が先頭で送り出された。
シドニーユニはNSWプレミアシップコンペティションの『Shute Shield(シュート・シールド)』で、2005年以降、6連覇を含む7回も優勝している強豪。べーリック・バーンズやワラタスで活躍のマルチフットボウラー、イズラエル・フォラウなどスーパーラグビーの選手が大勢所属し、現役のスーパーラグビープレーヤーがセカンドグレード(2軍)以下で出場することも珍しくない。そんな中でのファーストグレード出場は、大きな経験となったはずだ。
城は今年のジュニア・ジャパンのスコッドに選ばれるも、IRBパシフィック・ラグビーカップの遠征メンバーから漏れたことにより、この留学が実現した。現地での生活はあと1か月程度で終了(6月20日帰国予定)となるが、より高い環境でのびのびとプレーし、実り多き日々となりそう。この試合の翌日はセカンドグレードの試合に先発出場となったが、同グレードで安定したプレーを発揮し続ければ、ふたたびチャンスが巡ってくることもあるだろう。
ちなみに、同留学にはキヤノンのチームメートである和田拓も参加している。同選手はWTBというポジション柄とても層が厚く、まだ下のグレードで奮闘中。しかし、こちらも今後のブレイクが期待されている。
(リポート/YASU TAKAHASHI)
青い襟はファーストグレードの証(2軍以下は白襟)。ナイトゲームで、スクラムでは湯気。
(撮影/YASU TAKAHASHI)