ラグビーリパブリック

【アジア五カ国対抗】霜村。内田。UAE戦に思いをぶつける。

2013.05.08



新たなチャレンジに刺激を受けている霜村誠一。(撮影/松本かおり)



 ルーキーのような顔だった。31歳のベテランが、26歳のSO小野晃征と23歳のCTB立川理道に尋ね、教わっていた。
 久々にジャパンに復帰した霜村誠一だ。5月7日、ジャパンの全体練習後。昨年からチームの中心に立つ2人に、ポジショニング、ボールをもらう位置を確認する時間が続いた。



「(やらないといけない動きは)なんとかわかってきた気はします。もう大丈夫(笑)。あとは実戦でやってみて、その感覚で調整していく感じですかね」
 5月10日にドバイでおこなわれるアジア五カ国対抗第4戦、対UAEに先発することが決まった。6年ぶりのテストマッチ。チームに合流後、「(ベテランとして)周囲に影響を与えるというより、自分の方がいろんなものを得ている感じ」と笑っていた。グラウンドでのふるまいからも、その姿勢が伝わる。



 この日の練習後、UAE戦出場予定メンバーの発表会見に臨んだエディー・ジョーンズヘッドコーチは、多くの若手を含む23人の名前を見ながら言った。
「この試合に臨むうえでのベストの23人。若手には、ジャパンでやっていく気持ちをどれだけ持っているのか、それを見せてほしい」
 指揮官は、「もうスクールボーイじゃないというところを見たい」と言い、コミュニケーション能力、フィジカル能力を発揮することを求めた。
 ゲームキャプテンを務める菊谷崇は、若手にエールを送った。
「チャンスをもらった人たちにとっては、エキサイティングな試合になる。1か月やってきてやっと出番がきた。これまでやってきたことをイメージし、プレーしてほしい。出場した時間に全力を」



 先発メンバーの中には、今季初出場となるSH内田啓介の名前も含まれていた。過去3戦、ベンチにも入れなかったことについて「ショックだった」と語る。ジョーンズHCからは、FWへの指示やコントロールについての物足りなさを指摘されてきた。やっと巡ってきたチャンスでアピールしたい。
「何が足りないかは分かっているつもりです。そこ(求められる)をやるのは当然だけど、思い切りプレーしたい」
 スコット・ワイズマンテルコーチ(テクニカルアドバイザー)からは、走れ、走れ、といつも声をかけられる。
「思い切って、自分で仕掛けていけ、と。SHとしてはサイズもある方なので、積極的にいきます」



 昨年のアジア五カ国対抗で2キャップを獲得しているが、初めての背番号9に気が引き締まる。
「(試合が)とにかく楽しみ。いまジャパンでいられることも含め、自分の描いていたイメージより遙かに早く夢が叶っている」
 小学5年生のときからつけているラグビーノートがある。そこに書き留めてきた桜のジャージーへの夢は、大学卒業後になっているのだと笑った。
「チームの勝利がいちばんです。そのうえで、自分の持っているものを出し切りたい」



 内田をはじめ、チャンスを与えられた者がため込んだ思いを爆発させる80分。UAE戦は、そんな戦いになる。


 


 

Exit mobile version