久々のグラウンドに明るい表情の山中(左端)
禁止薬物使用により、IRBから2年間の資格停止処分を受けていた山中亮平。4月27日で停止期間が終了した元日本代表は、5月1日付けで神戸製鋼ラグビー部に再び加入した。そして5月2日、初めて灘浜グラウンドに姿を見せた。
この日、チームは2グループに分かれて練習した。後のグループに入った山中は午後2時前にグラウンドに姿を見せ、30分ほどラダートレーニングに取り組んだ後、室内でウエイトトレーニングに汗を流した。2年前、早大を卒業して加入した際は、ファーストミーティングに出てすぐジャパン合宿に参加したため、この日が文字通り、スティーラーズの一員としての初練習となった。
「2年間、復帰するという気持ちを忘れずに一日一日を過ごしてきました」
集まった記者から2年間はどうだったかと尋ねられると、しばらく間を置いて、「2年間は…長かった。長かったと思います」。簡潔な言葉に実感がこもっていた。
これまではラグビーに関わる一切の活動が出来なかったため、ジムに通い、一人で走る日々。体重は大学時代より4〜5?増えた。家にラグビーボールは置いてあったが、「誰かとパスすることはなかった。今日は久々だったから、結構ボールを落としてしまいました」。
大学卒業時はプロでの加入だったが、ラグビーの活動が出来なくなったため、一般社員として神戸製鋼に入社。総務部で株主総会や神戸マラソンなどの業務に携わった。今回は再びプロに戻っての挑戦だ。「上司は社員で残ることを勧めてくれましたが、社員として続けて、2〜3年で結果を残せなかったら、この2年は何だったのかということになる。ラグビーを一番に考えたかった」。
「春シーズンでゲーム感覚を取り戻して、開幕に合わせたい。神戸の試合は昨年、テレビで見ていたのでスタイルはだいたい頭に入ってます。10番にはこだわりたい。外国人選手も多いので、グラウンド外でもコミュニケーションをとっていけたら」
山中にとって、グラウンドでの一分一秒たりとも無駄には出来ない春が始まった。