(優勝してさわやかな笑顔を見せた関東選抜の選手たち)
2000年に第1回大会が行われ、いまや国内外の多くの高校チームが参加を熱望するイベントに成長した「サニックス ワールドラグビーユース交流大会」において、今年初めて、18歳以下の女子選手たちによる7人制ラグビーも実施された。今回は関東選抜、近畿選抜、石見智翠館高校(島根)、福岡レディースRFCの4チームが参加し、4月28日と29日の2日間、熱戦を繰り広げた。
2016年オリンピック出場を目標としているに違いない未来のスター候補たちは、ワールドユース交流大会の会場である福岡・グローバルアリーナに集まったファンに、スキルとスピード、それに躍動感ある全力プレーを披露し、希望を感じさせた。
優勝したのは関東選抜。予選リーグを3勝0敗で突破し、福岡レディースRFCとの決勝では5トライを挙げ、35−0と完勝した。山本実のスピード、鵜川志帆のステップ、小出深冬の加速力は見事で、関東の全選手が速くて長い安定したパスを放った。
優勝に導いた吉岡麻里子監督は、「選手たちがやるべきことをちゃんと理解してやろうという取り組みが、今回は本当に、今までにないくらいよく表れていた」とプレーヤーを称えた。「もともとミスを連発する選手は少ないのですが、『ミスを広げないように、サポートも大事だよ』という話をしていたので、その通りやってくれたと思います。チャレンジすべきところはしっかりチャレンジしてくれました」。
及川由季(市立船橋高校)、櫻井綾乃(高崎ラグビースクール)、バティヴァカロロ・ライチェル・海遥(戸田RSダンディライオンズ)、神田七海(千葉北高校)、山本実、新原響(ともに東海大学付属相模高校)、小出深冬、鵜川志帆(ともに横濱ラグビーアカデミー)、佐藤優(我孫子高校)、内山真希奈(國學院栃木高校)と所属は違うが、日本ラグビー協会のタレント発掘・育成事業であるセブンズアカデミーなどを通じて切磋琢磨している仲間であり、連係プレーもよく、存分に力を発揮できたようだ。
2016年オリンピック、さらにその先へもつながるよう、女子ラグビーの普及と強化を願う吉岡監督は、「サニックスワールドユースで初めて女子セブンズを開催していただいて、本当に感謝しています。エキシビションという形でしたが、すばらしい環境のなかで試合をできるというのは選手たちのモチベーションになったと思います」と、大会参加の意義を強調した。
3位決定戦では、集中力をキープした近畿選抜が少ないチャンスをしっかりものにし、21−7で石見智翠館を下した。今春の全国高校選抜女子セブンズ大会で初優勝した石見智翠館だが、PR田中香帆、PR齊藤未奈、SH村上舞という主力3選手がニュージーランド留学のため不在だったことも、今大会で1勝3敗と揮わなかった要因かもしれない。
磯谷竜也監督は謙虚に大会を振り返った。
「センバツで一度勝ったからといって、ウチ(石見智翠館)が最強じゃないよ、というのを教えられました。もっともっと修正しなくてはいけない部分がすごく見えましたので、収穫は多かったと思います。いろんなチームが強くなって、女子セブンズは全体的に成長していると感じますし、私たちも頑張っていきたいと思います」
夏には、『KOBELCO CUP』(予定)で女子高校生たちが再び燃える。
(スカイブルーの関東選抜と赤いジャージーの近畿選抜)