(イングランド王者とタフなバトルを行った長崎南山)
福岡・グローバルアリーナで開催されている「サニックス 2013 ワールドラグビーユース交流大会」は29日に大会2日目の日程が終了し、海外勢4チーム、セント ジョセフス ナッジー カレッジ(オーストラリア)、セント ケンティガン カレッジ(ニュージーランド)、ダニエル ピナール テクニカル ハイスクール(南アフリカ)、そしてハートプリー カレッジ(イングランド)が圧倒的強さで2勝0敗(勝点10)とし、準々決勝進出を決めた。オーストラリアと南アのチームは初日からよく声を出し、気合十分。ニュージーランドとイングランド勢はフルタイムで攻守の集中力高く、この4強を中心に優勝争いが展開されるのは間違いなさそうだ。
國學院久我山(東京)は、2012年クイーンズランド州公立学校大会2位の実績を持つオーストラリアのチームに挑んだが、終盤にスクラムからの流れでLO大西訓平が1トライを返したのが精一杯で、5−68で敗れた。
今春の全国高校選抜大会で準優勝した東海大仰星(大阪)は、2012年ニュージーランド高校選手権大会のチャンピオンと対戦し、7−36と力の差を見せつけられた。それでも仰星は最後までアグレッシブに戦い続け、後半19分、自陣10メートル付近のラックから左へ高速展開し、WTB河野翼が抜けて堅牢なディフェンス力を持つセントケンティガンから1トライを挙げている。
南アの東ケープ州王者に挑戦した佐賀工は、試合終了間際にドライビングモールで押し込み意地を見せたが、11−54という結果に終わった。
そして、全国選抜ベスト8の長崎南山は、2019年ワールドカップでイングランド代表に選ばれそうな精鋭を揃えるハートプリーに12−80と圧倒された。
相手は、スコッド30名中、身長185センチ以上が17名もいる大型チーム。攻守ともにパワフルでテンポが速く、意思統一もしっかりしているハイレベルの集団は、南山の市山良充監督に完敗を認めさせた。
「ミスが少ないですよね。あれだけ大きいのに、テンポもいいし…。それに、タックルの強さが日本のチームとは違う。あれだとなかなか取り返せないです。もうちょっと高速に展開して、走り切れるような場面を作りたかったですね。ただ、相手のディフェンスも懐が深いんで、簡単にはいかない。ギャップもスペースも与えてくれなかった」
キックオフで長身の相手に難なくボールを確保され、速い展開から早々にトライを許した。個人技であっさり抜かれ、圧巻のスピードに触ることすら苦労する。食らいつこうとしても強烈なハンドオフで払いのけられ、サポート力も優れるイングランドチームに計12トライを奪われた。
苦汁をなめさせられたNO8岩永健太郎キャプテンは、「1対1で負けたら試合も負けなんで、もう、完敗でした。自分たちの気持ちの切り替えもよくなかった。全国選抜ベスト8である程度自信はつきましたが、外国人相手だと通用しないことも多く、日ごろ日本人とやっているプレーとは違う部分を感じられたので、いい経験になったと思います」と悔しさをにじませながらも頭を上げた。
収穫はある。日本の高校ラグビー界には存在しないような強敵から2トライを挙げた。1本目は前半9分、ゴール前スクラムから右に展開し、FB野口修平が飛び込んでゴールラインを越えた。そして試合終了間際、ゴール前でのペナルティから得意のモールで押し切り、意地を見せた。
「モールとスクラムではそこそこいけた、と言えるかもしれません」と市山監督。ショッキングな大敗を喫してしまったが、まだ1位〜8位決定トーナメント戦進出への可能性は残しており、5月1日の常翔学園戦へ向け闘志を燃やす。センバツの準々決勝で31−34と惜敗しており、南山にとってはリベンジへのビッグゲームだ。
「あの試合は、接点とかの面ではウチが優位に立てた部分もあったんですけど、外に散らせたときの対応がまずかったので、そのあたりをしっかりできればチャンスは十分あると思います」
国内勢8チームはいずれもプール戦1勝1敗で、どのチームにもベスト8入りのチャンスがある。明日5月1日に行われる予選リーグ最終戦では「國學院久我山×東福岡」(A組)、「茗溪学園×東海大仰星」(B組)、「御所実×佐賀工」(C組)、「常翔学園×長崎南山」(D組)で激しい火花が散る。
<サニックス 2013 ワールドラグビーユース交流大会/大会2日目までの結果>