4月22日から参加した日本代表の福岡合宿で積極的にアピールした藤田慶和
(撮影/出村謙知)
最年少代表記録を塗り替えた、衝撃の6トライデビューから1年。2019年の地元開催W杯で中心選手となることが期待される(もちろん2015年もだが)、ティーンエイジャーが日本代表に戻ってきた。
4月20日のフィリピン戦でヒザを痛めたベテランWTB小野澤宏時と入れ替わるかたちで、早大新2年生の藤田慶和が22日にエディージャパンに合流。1年前の自らの活躍を彷彿とさせるような代表デビューを飾ったばかりのWTB福岡堅樹も練習中に太ももの裏側を痛めたこともあり、いきなり27日の香港戦でリザーブ入りを果たした。
フィリピン戦同様、8人のリザーブプレーヤーのうちBKをカバーするのはSO/CTB田村優と藤田のみ。香港で2キャップを獲得する確率は限りなく100%に近いと断言してもいいような状況だ。
昨年5月にヒザの靭帯を断裂した藤田が実戦復帰を果たしたのは、ジュニア・ジャパンの一員として参加した3月、4月のパシフィック・ラグビ―カップ(PRC)。スーパーラグビー予備軍とばかり6試合を戦った。「スーパーラグビーでプレーするのが目標」と公言する藤田だが、PRCは自らに足りないものを自覚する好機となった。
「接点など、いろんなところで通用しなかった。インターナショナルレベルで日々トレーニングを積んでいかないとあのレベルには到達できないということがわかった」
ジュニア・ジャパンでの遠征序盤は、「体を張れずにチームに迷惑をかけた」と落ち込むことも少なくなかったが、PRC6戦中5戦目のハイランダーズ・ディベロップメント戦あたりから「まずはラグビーを楽しもうと。吹っ切れた」と、いい意味での開き直りの境地に達して、思い切りのいい走りを取り戻した。
「ジュニア・ジャパンの遠征があったからこそ、代表にも呼ばれるくらいの状態に戻れた。いまは思い切ったステップが切れるようになったし、感覚も良くなってきている。常に代表に選ばれることを意識してウェイトなどもやってきたし、体も大きくなって、意識も確実に変わった。自分の強みのスピードを生かして、どんどんボールもらって、ひたむきにがんばりたい」
南半球で真の世界レベルを体感してスケールアップしたスピードスターの奔放な走りと天真爛漫な笑顔が香港で炸裂しそうだ。
(文/出村謙知)