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日本代表の新スピードスター、福岡堅樹 初キャップ初トライに期待大

2013.04.19

 新たなゴールデンボーイの誕生と言っていいだろう。



 昨季の大学選手権準決勝、決勝で彗星のごとく現れて、いきなり国立競技場を沸かせた大学1年生が、ジュニア・ジャパンでの厳しい南半球遠征を経て、アジア五カ国対抗初戦の日本代表リザーブに名を連ねた。



 WTB福岡堅樹、20歳。



 8人に枠が拡大されているにも関わらず、フィリピン戦でのBKリザーブは福岡以外にはSO/CTB田村優だけということを考えても、限りなく初キャップに近づいたと言っていい。



「スピードはもの凄い。僕と小野澤(宏時=WTB)さんのふたりで、『ちょっとどうしようか。困ったな』みたいな話もしているくらい」



 同じポジションの日本代表廣瀬俊朗主将にそこまで言わせる筑波大の新2年生は、この1カ月、まさしく自らの力で日本代表キャップにあと一歩のところまで、のし上がってきた。



 ジュニア・ジャパンの一員として参加したIRBパシフィックラグビ―カップ(PRC)では、初戦(3月12日、対ブリスベンアカデミー)ではリザーブにも入れず。



 それでも、「アタックではしっかり前に出て、相手を抜くことを心がけたり、練習の時から積極的にアピール」。2戦目以降は先発の座を守り続け、最終第6戦のハリケーンズディベロップメント戦(4月7日)ではハットトリックを記録。ザ・マン・オブ・ザ・ツアーと言っていいような活躍を見せた。



 ちなみに、この最終戦前に本人には日本代表入りが伝えられていたが、そのプレッシャーを微塵も感じさせないブレーぶりは大物の証拠かもしれない。



 4月9日にニュージーランドから帰国して、翌10日に日本代表合宿に即合流。



「外国人相手にも自分の持ち味が通用する部分もあったし、だんだん『今だ』というタイミングもつかめるようになった」



 PRCでスーパーラグビー級の相手につかんだ自信をそのままジャパンの先輩選手たちにぶつけるかたちでアピールし続けた。



 フィリピン戦への最終トライアルと言えた、17日のサニックスとのアタック・ディフェンスでも、積極的なプレーで何度もビッグゲイン。控え組、主力組双方でプレーしながら、どちらでもトライを奪うなど、実力で23番のジャージを勝ち取ったかっこうだ。



「スピードはすでにインターナショナルレベル。志も高く、クレバーでもある。日本代表スコッドにもうまくフィットしているし、テストマッチレベルでの成功を収める可能性は十分ある」と、エディー・ジョーンズヘッドコーチの評価もうなぎ上り。



「トライを取ることが仕事なので、出場したらまずはトライを取ること。そして、バックアップDFなどでも貢献したい」



 医学部志望のため、筑波大入学前に1浪。3歳でピアノを始め(ラグビ―は5歳から)、高校時代にはバンドでドラムも叩いていたという異彩ぶりも際立つ新スピードスターの地元・福岡での初キャップ、初トライに、期待は高まるばかりだ。


 


(文・写真/出村謙知)


 



17日のサニックスとのアタディフェでも鋭い走りでアピールしたWTB福岡


 

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