法政大学の増田壽男総長(左)と同大ラグビー部監督に就任した谷崎重幸氏
(撮影:BBM)
関東大学リーグ戦1部で昨季4位の法大は21日、谷崎重幸氏(54歳)の新監督就任を発表した。会見で指揮官は、「選手が主役。そこからスタートし、現状を見て、私の経験値をプラスしていければ」と抱負を述べた。
2011年度まで東福岡高を指揮し、全国高校ラグビー大会で通算4回の優勝を経験した谷崎新監督。同高の統括だった昨夏に打診を受け、今年4月1日から母校でもある法大で本格的な指導を始める。日本の強豪大学ラグビー部の指揮官決定には、通常、OB会の意向が強く反映される。しかし、今回は大学当局が主導となった。7月5日から正式な交渉を開始した徳安彰常務理事は「流れとしては特例」と認めた。そんななか、谷崎新監督は「ここ4年間で3人目の監督となる。そうすると混乱するかもしれない。4年生のことを考えれば…」と語る。小野木修前監督がゼネラルマネージャー的な立ち位置となるなど前年度の指導陣は残留し、OB会の推薦を受けた穂坂亘コーチ(東京ガス)が新たに加わる。
「私のミッションはラグビーの精神を伝えること。チームのためにどれだけ身体を張れたかに喜びがある。規律のなかに自由がある」とする谷崎新監督は、目指すスタイルについては「ジャパンと違って選手を好きなように選べない。1人ひとりの個性が活かす」と語るに止めた。2013年度の目標成績も、「(自らの指導経験上)結果を求めた時って、結果が出てないんです」とあえて明言はしなかった。
「ベストゲームは、ノーペナルティでドロップゴールのみの3−0の勝利。一瞬の隙も与えられない、そんなやりがいのあるチームだと認められるようになる。花を咲かせるのは選手。スタッフには大きくて、太い、強い、最強の根っことなりましょうと話をしました」
過去3回の大学日本一を達成した法大だが、近年は下部との入替戦に出場するなどやや低迷。現役部員には東福岡高で谷崎新監督の指導を受けたFL西内勇人ら、高校ラグビーを沸かせた有望株が数多く揃っている。
(文・向風見也)