練習後の記念撮影。左から菅野氏、宮川主将、為末氏
(撮影:向風見也)
陸上男子400メートル障害で2度の世界選手権銅メダルを獲得した為末大氏が、関東大学対抗戦Aで昨季5位だった慶大ラグビー部のスプリントコーチに就任。20日、初の指導を行った。
昨年引退して立ち上げた「為末大学ランニング部」の指導の一環で、選手の走力アップと精神構造の変革に着手する。人を介して知り合い要請を決めた和田康二新監督には、「(主な狙いは)メンタル面の強化」と期待される。今後は同プロジェクトに参画する菅野優太氏(元日本代表スプリンター)が、週1回のトレーニングを敢行予定だ。為末氏はメールなどで選手と個別に連携を取りつつ、定期的にチームへ合流する。
グラウンドでは、基本的な走りの姿勢が確認された。為末氏は「今日、見ていると、基礎的な部分でも伸びしろがある。肩甲骨と股関節が柔らかくなるだけで相当パフォーマンスが上がる」。陸上界では難しいとされる「50メートル走のタイムを半年で0.2秒短縮する」という目標を掲げ、「それがラグビーにどんな影響があるかはわからないですけど、多少は優位になるはず」と話す。練習前の座学では、「勝者のメンタリティ」に関してレクチャーした。陸上短距離の強豪国であるジャマイカについて「子どもたちが世界一になれると平気で信じちゃっているところが強さ」と分析。目指す基準値を高めることが重要だと伝えた。
「(練習前の講義を)どれぐらい前のめりになって聞いてくれるかで、同じことを教えるのでも吸い込み方が違う。まずマインドセット。それさえあれば、スキルはある程度のものが提供できる。結構、いい感じで聞いてくれていたのでやりやすいと思います」
SO宮川尚之主将は、「選手がどうあるべきかを具体的に説明して下さった。勝てるチームには努力が当たり前とする文化がある、と」と振り返った。
(文・向風見也)