ラグビーリパブリック

ハイランダーズSH田中 快挙の裏側と代表への思い語る

2013.03.08


tanaka


田中史朗
(撮影:BBM)


 



 南半球最高峰リーグ「スーパーラグビー」のハイランダーズは9日、インバーカーギル・ラグビーパークスタジアムでチーターズと対戦。日本人で初めて同リーグ公式戦に出場したSH田中史朗は、開幕から2試合連続のベンチ入りとなる。メンバー決定前の4日に応じた電話取材で、記念すべき瞬間の裏側や日本代表への思いを語った。



 2013年2月22日、ニュージーランド・ダニーデンのフォーサイスバースタジアム。チーフスとの今季初戦でベンチ入りのSH田中は、後半26分から途中出場した(●27−41)。日本人初のスーパーラグビープレーヤーとなった瞬間は「いつも通りにやろう」と平常心になれたが、キックオフ直前は底知れぬ高揚感を覚えた。



「ウォーミングアップが終わって、(メンバー入り選手)皆が集まったとき。やっとここに立てたんだ、と。思い出すと、いまでも泣きそうなんですけど…」



 2日前の20日には、メディア関係者らが集まるクラブハウスのミーティングで「断髪式」を行った。同僚のSHアーロン・スミスの手で、五厘刈りとなったのだ。そして試合中、ベンチで出番を待つところにカメラを向けられる。「何か日本をアピールすることを」と、手のひらを合わせてお辞儀。きっと、日本の視聴者を和ませた。



「後で兄貴から電話が来たんですけど、あれ、サッカーの長友選手(佑都・インテル)もやってたんですね。最近のギャグを知らないので、他は『カトちゃんペ』しか思いつかなかった…」



 日本代表としてはこれまで33キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)を獲得。今春もナショナルチーム入りを果たした。「まずはハイランダーズで結果を出すのが使命」としながら、6月のウエールズ代表戦には出たいと願う。



「ランクが上のチームに勝てるか。それをファンの方にも見せたいですし、自分自身もそこでワールドカップへの手応えを掴みたい」



 事あるごとに「日本ラグビーのため」というフレーズを口にする。現地での練習の激しさ、仲間の自己犠牲の精神を体感しては、「日本のラグビーは甘い」と苦言を呈するのだ。その思いは、日本代表のジャージィにどう反映されるか。



(文・向風見也)


 


 

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