シーズンを締めくくる日本選手権は24日に東京・国立競技場で決勝を迎え、3季連続6度目の頂点に挑むサントリーに12年ぶり10度目の王座を狙う神戸製鋼が対戦する。
運動量と組織力で攻め続けるサントリーは、日本最高峰のトップリーグ(TL)では今季全勝優勝を果たした。エディー・ジョーンズ前監督が提唱し、昨季まで2年間で3つのタイトルをもたらした「アグレッシブ・アタッキング」を、今季就任の大久保直弥監督が継承。オーストラリア代表110キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)のFLジョージ・スミスは接点でのボール奪取や力強い突破で存在感を示し、南アフリカ代表62キャップのSHフーリー・デュプレアは相手守備網の盲点を突くキックで試合をコントロールする。世界トップクラスのキャリアを誇る外国人勢を「ゲームを読むという意味では抜群の存在」とする指揮官だが、「1人に依存して、その1人がいなくなって何もできないじゃ、何のために日々激しいトレーニングをやっているんだということになる。状況を打開するには彼らが必要ですけど、サントリーの土台にあるのはチームプレー。チームプレーをするからフーリーとジョージが活きている」。2月16日、東京・秩父宮ラグビー場での選手権準決勝ではパナソニックを26−13で制した。
安定したスクラムと球際での激しさが目立つ神戸製鋼だが、最大のキーマンは南アフリカ代表69キャップのCTBジャック・フーリーだ。要所でスペースに駆け込みトライを奪うだけでなく、チームメイトに「すごくコミュニケーションを取ってくれる」と評される。立ち位置の確認や守備での一斉に飛び出す合図など、常に大声での情報伝達を心がける。決勝戦では、オーストラリア育ちもフィリピン国籍所有のCTBクレイグ・ウィングと密な連携を取るか。チームは16日の準決勝(大阪・近鉄花園ラグビー場)で東芝に31−29で勝利。FL橋本大輝主将は、足元へのタックルとこぼれ球への反応でチャンスを導いていた。
最後の直接対決は1月19日のTLプレーオフ準決勝だ(秩父宮)。前半は力勝負でやや優勢だった神戸製鋼が10点リードも、後半は形勢逆転。サントリーが38−19で快勝した。敗者は、リーグ戦で負傷し「復帰へのプロセスだった」と自認するCTBフーリーが後半4分に退いていた。
選手権決勝にCTBフーリーがほぼ万全で臨む神戸製鋼は、立ち上がりからサントリーの攻撃の起点に圧力をかけたい。その向きに大久保監督も「フィジカルで、ハードなゲームになるのは間違いない」と力を込める一戦は、14時にキックオフ。
(文・向風見也)