(撮影:BBM)
接点の周りから複数人がタックルに出る。相手を倒すや網を張る。またタックルする。初戦から出場のパナソニックは守りで魅せた。が、勝ったのは、この日から参戦のサントリーだった。2013年2月17日、東京の秩父宮ラグビー場。日本選手権の準決勝を、26−13で制した。
前半は強い追い風に乗ったパナソニックは、決め手に欠いたか。5分過ぎ、敵陣でのボール奪取から攻め始めるも、快足を飛ばし接点脇へ駆け込んだWTB山田章仁がパスを貰えず。相手選手との衝突を妨害の反則とされ、チャンスを逃した。他の場面でも詰めの甘さを覗かせ、CTB霜村誠一主将も「勢いがあり過ぎた」と悔やむしかなかった。逆にサントリーは、わずかな隙をスコアに繋げる。0−6で迎えた20分だ。相手のゴールポストのほぼ正面で、NO8西川征克が背中を丸めてランを仕掛ける。敵の防御をかいくぐり、先制トライを決める。ここから終始、リードを保つのだった。
「気持ちのいい試合でした」。敗れたCTB霜村主将は潔い。かたや息の合った守り、かたや丁寧な攻めと、両軍とも持ち味を出し合っていた。そんな80分をものにした理由を、勝ったWTB小野澤宏時が語る。「細かい部分。(点を取る)確率を上げたところで、(最後まで)行き切った西川の強さもそう」。逆に敗者は「細かい」ミスに泣いたか。否。こちらも白星を挙げたFL佐々木隆道は、「無理にパスをしないとトライを取れないと(相手に)思ってもらえる。それを引き出したのは、いままでのサントリーの積み重ね」。12分にLO真壁伸弥主将が退くなか、総合力の高さを示した実感か。24日、東京は国立競技場での選手権決勝で、日本最高峰のトップリーグと合わせ2季連続の2冠達成はなるか。
(文・向風見也)