ラグビー先進国の南アフリカでは、少年少女をドラッグから守るために積極的に検査や教育を行っている。
現地新聞『ラポール』紙によると、ステロイドや禁止物質を使用していないか子どもたちを対象に検査を実施したところ、過去6カ月間で62人中18人が陽性反応を示したという。報告によれば、5種類の筋肉増強剤をインターネットで簡単に購入することができ、非合法で健康に有害なものと知らぬまま使用する若者も多いのだとか。
南アのドラッグ・フリー・スポーツ研究所(SAIDS)は、国内の100以上の学校が生徒のドラッグ使用(未使用)検査に関心を持っていることを明らかにし、それに協力するとともに、子どもたちがアナボリックステロイドなどの危険物質に手を出さないよう、教育プログラムを推進している。ラグビー情報サイト『RUGBY 365』によれば、今月もラグビー名門校のグレイ・ハイスクールや、ビショップス・カレッジ、セント・ジョンズで講義が行われた。
過去、父親が関与して、15歳の女子アスリートがステロイド使用検査で陽性となった事例があり、命を落とす危険もあるそれらの物質から子どもたちを守るため、SAIDSは依頼された学校でドーピング検査を無料で行っている。また、優秀な中高生ラグビーマンが集う「クレイブン・ウィーク」期間中も検査は実施される予定だ。
イギリスでは昨年、U16イングランド代表に選ばれたことがある有望な17歳のラグビー少年が、負傷後の回復を早めるために筋肉増強剤と成長ホルモンを含む禁止物質を飲んだことが明らかとなり、21カ月間の選手資格停止処分を下され、話題となった。さらに、同年のジュニア・ワールド・ラグビー・トロフィーに参加したU20ジンバブエ代表スコッドのうち、半数の13人が禁止薬物使用に陽性反応を示したことも衝撃的なニュースだった。
パフォーマンスを向上させるため、ケガを早く治すため…、さまざまな理由でに禁止物質に手を出す者は後を絶たず、若者たちにその恐ろしさを理解させる地道な教育は、日本でも重要となってくる。
(写真:Kiyoshi Takenaka)