スクラムから仕掛ける豊田自動織機のNO8ライアン・カンコウスキー
(撮影:松本かおり)
前半を終わって13−10。互いにスコアした得点に大きな差はなかったが、納得いく40分と感じたのは三菱重工相模原ダイナボアーズだった。豊田自動織機シャトルズを3点だけ上回ったが、背番号に関係なく低くタックルを繰り返し、SOデイヴ・ウォルダーがエリアをとる。少ないチャンスも仕留めきって(前半14分にFL李眩羽がトライ)、いい空気でハーフタイムを迎えた。
トップリーグへの昇格を決めるトップチャレンジ1が始まった1月5日の秩父宮ラグビー場。第1試合ではトップウエスト1位の豊田自動織機と、トップチャレンジ2で1位となった三菱重工相模原(トップイースト2位)が激突。試合はロースコアで進んだが、前半をリードしたダイナボアーズの気迫も勝利には届かなかった。
後半の40分も同じ流れを保ちたかったグリーンのジャージー。でも、相手はそれを許さなかった。前半相次いだミスに、豊田自動織機の田村誠監督が出した指示は「(相手の圧力を受けている)パスより、ボールキャリアーが判断して前に出よう」。荒れたピッチ状態も重なって、思うように攻められずにいたシャトルズ。しかし後半は、ランを多くして防御を下げ、機を見てワイドに攻める。後半23分にWTB朝見力弥が逆転トライを奪うと、残りの時間を支配して最後は10点差をつけた(26−16)。
ダイナボアーズは、攻撃機会増加へのシフトチェンジを全員に知らせるためにもWTBシェーン・ウィリアムズを後半途中から投入。しかし、同時にゲームメーカーのSOウォルダーをベンチに下げたことで、ゲーム支配の天秤が傾いた。「決してネガティブな内容ではなかった」と振り返った高岩映善監督は、最後までよくタックルした選手たちを労った。しかし、終盤に自分たちの首をしめたペナルティについては、「前半と変わらぬプレーができていたが、(レフリーに反則と判断されたのだから)勝負の駆け引きで相手が上だったということでしょう」と語った。防御から転じて、もっと攻める時間を増やせていれば…。
勝った豊田自動織機の田村監督は、「前半は最悪のデキ。ただ、『それでも、まだたった3点差だぞ』と選手には言った」と語った。そして、「いい結果を持ってきてくれたことだけがよかった」と苦笑。なんとか勝点4を手に入れ、及第点の初戦となった。