花園での勝利獲得に燃えた黒沢尻北(赤)と萩商工(白)。気迫あふれる好勝負となった
(撮影:松本かおり)
雨の大阪・近鉄花園ラグビー場で12月28日、第92回全国高校ラグビー大会(大会2日目)の1回戦11試合が行われた。
昨季ベスト8の佐賀工は、東北の強豪・仙台育英(宮城)と対戦し、38−12で勝利を収めた。前半6分にLO中尾龍矢がインゴールに飛び込み先制した佐賀工は、その後もモールの強さを存分に活かして計6トライ。仙台育英は展開ラグビーで突破口を見出したかったが、佐賀工の守りを崩壊させることはできず、初戦で涙をのんだ。
創部105年目で初出場を果たした太田(群馬)だが、チャンスを確実にものにした光泉(滋賀)に8−36で敗れた。それでも、FB石原拓郎がペナルティゴール成功で初得点を記録し、試合終了3分前にはCTB鹿野貴也がトライを挙げて、新たな歴史を刻んだ。なおこの試合で、高校日本代表候補である光泉のSH住吉藍好がハットトリックを決めている。
秋田工、天理に次ぎ歴代3位の出場回数(51回)を誇る大分舞鶴は、14−20で東海大翔洋(静岡)に敗れ、1回戦で散った。後半だけで3トライを奪い、古豪に逆転勝ちした東海大翔洋のCTB仁科翔一朗主将は、「前半はバラバラ気味に動いていたチームが、ここというところで一丸になれたのが嬉しい。後半立ち上がりの10分に集中しようと言っていて、そこでトライを取れたのが大きかった」と笑顔を見せた。
北信越チャンピオンの新潟工は前半のリードを守り、17−12で鹿児島実を振り切った。敗れた鹿児島実の川向瑛主将は「ランニングでは自分たちの方が勝っていると思ったが、試合の中で修正するのが遅れた」と悔やみながらも、「新潟工は接点で自分たちより激しかった」と相手を称えた。
11年連続で山口県代表の萩商工は、7年ぶりの出場となった黒沢尻北(岩手)の猛攻に耐え、19−12で勝利を手にした。萩商工の石東正之監督は「この3年間(花園で)勝ちを知らなかったので、この勝利は大きい」と喜んだ。2回戦ではAシード校の常翔学園(大阪第1)に挑む。
守備への評価が高い若狭東(福井)は山形中央に得点を許さず、攻めては7トライを奪って45−0と完勝。寺本幸司監督は「はやい段階でトライを取れてリズムに乗れた。今年の子は元気がいいので、それで勢いにも乗れた」と試合を振り返った。
東北大会準優勝の青森北は、大阪第3地区代表の大阪桐蔭に15−29で敗れた。前半をリードし、後半5分にゴール前右端でのラックからSH斉藤右悟が持ち込んで15−7としたが、全国屈指の激戦区を勝ち上がってきた大阪桐蔭は地力があった。後半11分に大阪桐蔭FWがパワープレーを見せて点差を縮めると、その4分後にはゴールラインを背にした相手がボールをこぼしたところを一気にたたみかけてFL中川竜斗が逆転トライ。28分と試合終了間際には接点でのターンオーバーからトライに結びつけ、ノーサイドとなった。
日本航空石川はLOオネセマ・ハフォカ、NO8フィシプナ・トゥイアキといったトンガ人留学生がパワフルランを見せ、36-12で四国王者の貞光工(徳島)を下した。
福島県代表の平工は、15−12で和歌山工に勝利。前半8分にFW突進で先制トライを挙げ、17分にはWTB水口大貴が飛び込んで追加点。後半に5点を加えたあと、和歌山工に2本目のトライを奪われ3点差に詰め寄られたが、残り12分間を守り切った。
東海チャンピオンの西陵(愛知)は、計16トライを挙げて100−0と倉吉総合産業(鳥取)を圧倒している。
東京はミスが目立ったものの、勝負強いWTB雨森哲輝が3トライの活躍。三島(愛媛)を43−5で退けた。四国勢はこれで4校すべてが姿を消した。
29日は休みとなり、大会3日目の12月30日に2回戦全16試合が行われる。
古豪・大分舞鶴に逆転勝ちして喜ぶ東海大翔洋の選手たち
(撮影:BBM)
<第92回 全国高校ラグビー 大会2日目/1回戦 結果>
・萩商工(山口) 19 – 12 黒沢尻北(岩手)
・日本航空石川(石川) 36 – 12 貞光工業(徳島)
・新潟工業(新潟) 17 – 12 鹿児島実業(鹿児島)
・佐賀工業(佐賀) 38 – 12 仙台育英(宮城)
・平工業(福島) 15 – 12 和歌山工業(和歌山)
・大阪桐蔭(大阪第3) 29 – 15 青森北(青森)
・東京(東京第2) 43 – 5 三島(愛媛)
・西陵(愛知) 100 – 0 倉吉総合産業(鳥取)
・東海大翔洋(静岡) 20 – 14 大分舞鶴(大分)
・光泉(滋賀) 36 – 8 太田(群馬)
・若狭東(福井) 45 – 0 山形中央(山形)