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16日 筑波大戦に先発の慶大LO佐藤 公立校からトップリーガーへ

2012.12.15

 関東大学対抗戦Aで5位の慶應義塾大は16日、全国大学選手権のセカンドステージで同1位扱いの筑波大と戦う(東京・秩父宮ラグビー場)。4年の佐藤太朗がLOで先発。チーム有数の突破役として注目される。



 身長181センチ、体重94キロと大学トップレベルにあっては平均的な体躯も、要所で鋭いランを繰り出す。接点の周りで相手に鋭く身体を当てることでもチームを助け、野澤武史ヘッドコーチに「動きの速さは群を抜いている」と評価される。対抗戦ではLO、FLとして全試合先発出場を果たした。


「とにかく前に出なきゃ、次の攻撃のシェイプ(型の形成)にも影響が出る。周りの人にも前に出て欲しいし、それを言うには自分が前に出なきゃな、と」



 田中真一監督は「佐藤にはドラマがあるんです」と話す。3年の夏合宿時、ひたすらセービングを繰り返す「ゴロゴロ」という練習メニューを強いられ、佐藤は「何の意味があるんですか」と反発。そこでコーチ陣は「ずっとやったら何かが見える」と諭して続けさせたようだ。指揮官によれば、佐藤は「確かに、何か見えるものがありました」と振り返ったという。その逸話について聞かれると、本人は「それで監督に変わったと言ってもらえているんで、結果的にはよかったと思います」と苦笑した。



 都立国立高から一般入試を経て入部。昨季オフは一般的な就職活動と平行し、トップリーグのチームへのプロモーションを展開した。複数のクラブに自らの試合の映像を編集して送り、NTTドコモから連絡を受けた。卒業後の同部入りを決める。



「ドコモから話のあった同じ4月6日、一般就職の内定をもらえた。すごく迷ったんですけど、いましかできないことをやるならラグビーかなと。とにかく、チームメイトに信頼されたいとは思っています。タックルに低く行ったり、ブレイクダウンで身体を張ったりと、まずは人が嫌がることができるプレーヤーになりたい」



 まずは、学生生活の最後のシーズンを全うする。



(文・向風見也)


 

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