1年で対抗戦Aグループに戻る成蹊大。ノーサイドの瞬間、選手たちは歓喜した
(撮影:BBM)
ハードワークとロー・ファーストタックル。成蹊大がこの1年間取り組んできた2大テーマである。そして、本日迎えた大一番。勝利へのキーワードも同じだった。
「その2つを完璧にやってくれたから手に出来た勝利」
今季から率いる大塚昂監督は、そう言って目尻を下げた。
その横で、尾上敬洋主将は「僕らはシアワセモノです」と笑った。
「この日、この80分のためにやって来て勝てたんですから。今季のスローガン(Unite)通り、ひとつになれた」
12月9日に埼玉・熊谷ラグビー場で行われた関東大学対抗戦A-B入替戦で、B1位の成蹊大がA8位の立教大に15-7で勝ち、来季の昇格を決めた。最後まで衰えなかった運動量と、町田信吾、藤本健友の両CTBを中心としたタックル、タックル、またタックルの展開で立教大の強い心を折った。
熊谷名物の風。前半、それを背に受けて攻めたのは立教大だった。キックをまじえながら敵陣に進入。しかし、好機を相手のタックルで潰し、決定的な得点機をハンドリングエラーなどで失う。そして、追い風を得点に結びつけられず、焦りも感じ始めた31分には先制点を許す。成蹊大の狙ったPGは外れるも、それをインゴールでノックオンして窮地は訪れた。ゴール前で成蹊ボールスクラム。ブラインドサイドへの展開から、FWにパワーで押し切られた(ゴールも決まり、前半=成蹊大 7-0 立教大)。
最初から元気のあった成蹊大は、後半風上に立って勢いを増した。全員がよく走り、サポート厚い攻撃。タックルからボールを奪い、敵陣深くに入る。21分にはSO斉藤孝紀のグラバーキックをWTB糸賀直輝がインゴールで押さえ追加点を挙げた。立教大も27分、PR迫田泰英主将がトライライン前で得たPKから飛び込み反撃に転じたが、その後も流れは変わらず。31分にはSO斉藤がPGを追加し、歓喜の瞬間が訪れた。
「この1年、妥協することなく練習してきた結果だと思います。今日の試合では、最初からテンションで相手を上回っていると感じていました」
会心の表情の尾上主将。敗れた迫田主将は、「相手は2部で優勝し、チャレンジ精神を持って、勢いに乗ってくるのはわかっていた。それにのまれないようにしようと言っていたけど…」と目を真っ赤にした。
もう1試合は、Aグループ7位の青山学院大がB2位の明治学院大を63-15と圧倒した。「1年間Aで戦ってきたプライドを示して戦おうと言った」と武居健作監督。
最後は差を広げられたが、前半終盤まで激しいタックルで攻撃力のある相手を苦しめた明治学院大もプライドを示した。
「死ぬ気で、低く、激しくいこうと互いに呼びかけました。後輩たちには、あれを80分やり続けられるチームになってほしい」
福岡哲也主将がなぜリーダーに選ばれたかわかる、立派な態度だった。