男子準決勝、中国×韓国 「韓国は完全に捉えた!」
(撮影:萬井 淳)
アジアラグビーセブンズシリーズのひとつ、上海セブンズが9月22〜23日に開催された。当初は日本代表の参加も予定されていたが、時節情況を鑑み、派遣を見送ることとなったため、当初予定されていた10カ国から8カ国参加に規模が縮小されて開催(カザフスタンは財務状況厳しく、参加取りやめとのこと)。
数年前は殺風景なグラウンドで行われていた上海7sも、立派なスタジアムに会場を移し、昔は100名そこそこだった観客も2000人規模まで拡大した。
カップ決勝はそれぞれ、準決勝で韓国、台湾を下して勝ち上がってきた中国と香港の激突。セブンズの優れた技術と高い個人突破能力を備えた香港に対して、若さ・スピードの中国がどのように立ち向かうかが見所であったが、残念ながら40−10の大差で敗れることとなった。
「負けたのは身体の差」と中国チームを引っ張った陸専主将は語る。「オフェンスでは香港にも負けていないが、体の芯の強さが違うので、防御の際に1人に対して2人、3人とかかってしまう」との分析をしていたが、対面との立ち位置や、追い方など、チームとしての決め事もまだまだ改良の余地があると見える。
全国から高い身体能力をもつ選手を集めて、大学からラグビーを始めることが多い中国だけに、本能で行う個々の攻撃に比べて、組織で行う防御に課題があるようだ。
現在、中国は完全に7人制主流で取り組んでおり、今回の代表チーム12名の中で15人制をプレーしたことある経験者は2〜3人だけ、とのこと。「個人的には15人制の方がラグビーの団体競技としての精神があって好きなんだけど、ね」と張志強監督は述べていたが、国としての強化は五輪種目でもある7人制に主眼がおかれている。「日本が来ていたら、確実に決勝は日本vs香港。この2国はまだまだ格上の存在。当面の目標は、韓国には必ず勝利をおさめ、『アジアベスト3』としての立場を確保すること」とのことであった。
あえて張志強監督に訊いてみた。中国代表のユニフォームサポートはミズノ。この時勢で日本メーカーの服を着ることに抵抗はないか? と。当然のごとく、「政治は政治、ラグビーはラグビー。何の抵抗もないよ」との回答。「今回、日本が参加出来なかったのも残念。若い選手に日本との対戦で学んでもらうことがいくつもあったのに」と悔しがる。ラグビーという共通言語が作る世界には、国境や領土問題は存在しない。あるのは会場を取り巻く、セブンズに共通の「祭りを楽しむ」ムードと、闘うプライドだけである。
(文・写真:萬井 淳)
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