ここまで1勝2敗も、昨季上位陣を向こうに爪あとを残す今季初昇格のキヤノン。それに対し前年度王者で開幕4連勝を狙うサントリーは、2つの先発外国人枠を全てFWに使う。体調を考慮しLO真壁伸弥主将を休ませた大久保直弥監督は、「前半、FWでスマッシュしたかった」。チャレンジャーが自信を持っている接点での攻防を、世界的な大物の併用で制圧したかったのだ。
0−7と先行され迎えた前半7分、敵陣中盤での局面にその2人が突っ込む。オーストラリア代表110キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)、来日1年目の昨季トップリーグ(TL)でMVPとなったFLジョージ・スミスと、南アフリカ代表63キャップ、同じく2年目のダニー・ロッソウだ。攻め込みつつあと一歩で阻まれ、再び得た攻撃機会で落球した直後という場面で、相手の持つボールをもぎ取ったのだ。
2012年9月22日、東京は秩父宮ラグビー場でのTL第4節。徐々にサントリーが多角的アタックを機能させ42−17と勝利。敗れたキヤノンのWTB和田拓主将は早口で言う。
「経験したことのないプレッシャーのなかでラグビーをしていました」
(文・向 風見也)