SBW独走。後半20分、自らトライできたものの主将・霜村に渡してトライをプレゼント
(撮影:見明亨徳)
キックでの陣地獲得力と組織守備が看板だった前年度準優勝のパナソニックは、今季、個々が攻守で果敢に接線突破を狙う。2012年9月16日、栃木は足利総合運動公園。左右に球を振るサニックスとのトップリーグ第3節では、序盤こそ守備網の押し上げに難儀した。ただLO劉永男が流れを変える。
相手の連続攻撃に自陣22メートルエリアまで進まれた前半10分だ。CTB霜村誠一主将の「出ろ!」の声を聞く。ロングパスの軌道を見定める。トップスピードで突っ込みタックルする。受け手の落球を誘う。ここからチームは、合流2戦目のニュージーランド代表CTBソニー=ビル・ウィリアムズの簡潔な走りを軸に8トライを決めた。途中でミスや連携不備があったと選手らは口を揃えるも、スコアは55−15とした。
「先週、負けて、皆、もっと前に出ようと気持ちが入っていた」とマン・オブ・ザ・マッチとなった劉。9日、北海道で前年度9位のNTTコムに敗れたなか、自らのプレーを契機に仕切り直しの80分を制した格好だ。バージョンアップの過程で欠かせぬ小さな成功体験を得て、22日、東京で昨季4強の東芝と戦う。
(文・向 風見也)
マン・オブ・ザマッチに選ばれた劉永男
(撮影:見明亨徳)