4月のクルセーダーズ戦でマコウらと激しく競り合っていたエルサム(左)
(撮影:Yasu Takahashi, Nichigo Press)
神戸製鋼からの公式発表ではない。しかし、ショッキングな情報だ。8月下旬、海外の一部メディアが、「ワラビーズ元主将のロッキー・エルサムは、メディカル・テストに合格することができず、コベルコスティーラーズとの契約は白紙になった」と報じた。
確かに、9月1日のトップリーグ第1戦(vs. 近鉄)にオーストラリア代表75キャップを持つパワフルなFLの姿はなく、第2節・リコー戦のメンバーリストにもエルサムの文字は見当たらない。しかし、神戸製鋼コベルコスティーラーズ公式サイトには“NEW FACE”として笑っている彼の写真がまだあり、問題解決に向けて双方が努力を続けているのかもしれない。
世界最高峰のブラインドサイドFLだと、多くがその実力を認めるが、近年は故障に苦しんでいる。2011年は太もも裏や肩、足首などの故障で長期リハビリ生活が続き、手術を経て、今年はワラタスの選手として4月中旬にようやくスーパーラグビー出場を果たしたものの、復帰5戦目で肩を痛め、再び離脱。神鋼と契約した際も、トップリーグ登場は10月頃と予想されていた。
完全復活すれば、大きな戦力となるのは間違いない。日本へ引き抜かれたものの、欧州クラブもあきらめてはおらず、ジャパンラグビートップリーガーのオフシーズン、来年2月から7月には、ヨーロッパでプレーするという話もあった。
そんななか、フランスの地方紙『ラ・プロヴァンス』は9月6日、フランスの強豪トゥーロンがエルサムと接触していたものの、やはり肩の故障に難色を示し、獲得を見送ったと報じた。メディカルチェックについては、フランスは日本よりも厳しくないとの噂もあったが、それだけ状態は深刻ということか。同国のスタッド・フランセやトゥールーズ、ナルボンヌなども興味を持っていたといわれるが、はたして、エルサムが復活する日は来るのか。そして、神戸での登場はあるのか。
29歳のラグビー人生に、暗雲がただよってきた。